小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2022年3月22日火曜日

20220320 - 21 春に三日の晴れなし

何年か前に、伊豆半島を二泊三日で西から東にくるりと回った。その時に大先輩が「春に三日の晴れなし」と言ったのずっと覚えている。そのときは、実は三日ともに暖かくて穏やかで、石廊崎を回るときでさえ何の苦もなく、のんびりとした当たり年だった。

今年は言い習わしのとおりに低気圧が次々にやってきて、近場の三浦でキャンプの予定で、天気、海況がどうなるかだいぶ気をもんだ。

裏を返せば荒天も続かない。二日間はなんとかなって日曜月曜でみんなでキャンプにでられることになった。

朝、最寄りの駅で大先輩の車に集合し、スーパーで一泊二日の買い出しをする。二日と言っても、夜と朝ごはんの実質二食だけ。あれもこれも買いたくなる気持ちを抑えて車に戻る。

クラブハウスで荷積みをおえて、重い舟をみんなで入江に浮かべる。食料は少ないけど、テントなどの荷物は何泊でも変わらない。パドルの重さで気持ちも切り替わる。今日は浜でゆっくりと過ごすのが目的。漕ぐ距離はほんの数キロで構わない。

とりあえずは、いつもの横瀬島を目指して漕ぎ始める。なんだかうねりが大きい。南岸近くを低気圧が通過したあとだから、風は北寄りでもうねりが残ってる。近場のポイントを堤防からの出掛けに眺めてみたら、SUP とサーファーがもうポイントに入ってる。ニセコ先輩は先に出ていて、おそらく波遊びポイントを探してあちこち日帰りで回るつもりだろう。

僕らキャンプ組は五人。南に向かって進む。うねりの影響は大きい。長津呂崎から赤羽根海岸までのいつもの隠れ根地帯はことさらだ。その先の東風崎沖の灯標あたりもそうだった。大きい落差に加え、なんだかピッチが短い気がする。ちょっと若狭で感じた日本海のうねりを思い出した。

いつもと違う雰囲気と舟の重さが相まって、遠くで漕いでいる気分。口数も減ってそれぞれの漕ぎに集中しつつも、なんとなく舟はまとまって進んでいく。

そうして当初の目的地についたら、すでに先客が何組かいた。バイクや四駆で入ってきてテントを立ててある。まあそうだよね、もうここは無理だよねと針路を変えて、なんとか自分たちの浜をみつけて舟を上げた。


まだ日は高い。ここから自由時間。寝る場所を好きに確保して、三々五々に作業が一段落したらお酒を持って自然と集まる。大先輩はいつも最初に支度が済んで、というか全部済ます前から取り出して、みんなを待ち受けている。

そうやって集まりだしたら色々な話で時間があっという間にすぎた。以前いったツアーの話、特に去年の成生岬を回った時の話は印象につきない。

風はないのに、日本海の変なうねりが岩場に打ち返し、わりと厳しい海況で成生岬を目指してた。海図には灯台の印があって、それを目指して次々とでっぱりを回り込んでいくのだけど、いっかな灯台が見えてこない。

大先輩は、海図を読み間違えたかな、この海況でどうしようとヒヤヒヤしながら、大きな岩場を回り込もうとしたら、下から遠くに見上げた梢の隙間に、角度で灯台の影がちらりと見えた。ああ良かったと岬を回り込んだら、海面が静かになって、大きな入江がいくつも折り重なる湾に滑り込んだ。後で調べたら、キャンプに上がった場所は昔ながらの風待の入江だったそうだ。

そこでは、狭い波打ち際のゴロタに舟を繋いで荷物を持って上がり、一段上の平らな地面に高層テント場を作って過ごした。今日は三浦だけど、気分は遠くの浜でいるみたいだ。

そうしてカヤックに関係有ったり無かったりの話をとりとめなくして風が強まってきた夜更けにお開きにして寝た。

夜は風が吹いて、結露を嫌って全部メッシュに開けて寝たテントではさすがに寒く、夜中にゴソゴソと締め切ってそれからは暖かく朝まで寝た。

帰りも大した距離ではないので、のんびりと起き出し、遅い朝ごはんをゆっくりと食べ、ゆっくりと支度をしてから追い風に乗ってビュンビュンと帰って舟を上げた。道中、昨日の余韻を味わってまた口数は少なく、しばらくはお預けの重い舟の漕ぎ味を名残惜しんだ。

こうやって一泊でもやってみると、色々課題もみつかる。これが連泊で、しかも一週間を越えてくるとどうなのか。何かを増やしたら、何かを減らさないと積み込めない。どこでバランスさせるか考え直して、次の遠征に備えよう。カヤックをどこまでも漕いでいくために身につけるスキルの一つ、それがキャンプ。


















2022年3月19日土曜日

20220312 ちょっと三浦まで

やっとやっと漕ぎ日和。ちょっと漕ぎましょうと三浦に出かける。ウズウズしていた筋トレ後輩とクラブで待ち合わせて。

一足先に支度して先に浮かぶ。昨日まで吹いてた風で波があるかと期待したけど、近場のポイントにはなかった。久しぶりだから体力温存。近場の浜と俺の浜で行ったり来たりして、流木をあちらからこちらになど移す。

その後しばらく、湾内に戻りながら浮いてるゴミを拾ったりして、舟をちょこちょこ動かして水の感触を楽しみながらしていたら、後輩とオサレ同期が出てきた。

同期は北に立石を目指すという。湾口の堤防で分かれて、後輩と僕は剱埼を目指す。追い潮、追い風、ビュンビュン飛ばして、あっという間に剱埼まで来てしまった。内心雨崎くらいまでは行ってもいいかなと思っていたら、後輩が三浦海岸まで行きますか、といった。

何週か前、後輩は大先輩のツアーで八景島から三浦海岸、というか菊名海岸まで漕いでいる。なんとなく、そこまで行きたくなったんじゃないかな。その気持ちよく分かる。そこまで行けば、小網代から八景島までが気持ちの中でひとつながりになる、そんな感じ。

ただ、そうすると往復36キロほどになる。なんとなく、30キロを境に漕ぎが変わる気がする。でも、今日は海況は申し分なしだし、問題ない。行きましょう。

そうはいっても、今までの筋トレペースでは流石にやりきれないと思って、ここからは歩くペースに変えた。それに、ここまで追い潮だったけど、東京湾北上は向かい潮。澄んだ海の底から立ち上がるホンダワラが、こっちに向かって長くたなびいている。

久しぶりの雨崎は暖かくなったからかとても賑やかだった。

雨崎から菊名までは油凪。のっぺりとした海面の下はホンダワラの林で、自分が小さくなって水草の金魚鉢の中みたい。このダレる区間も下を向いてたら飽きなかった。

菊名についたら気が済んだ。後輩は浜に上がりもせずに引返す気満々。くるりと背を向けて、横瀬島まで漕ぎ戻り、そこで舟を上げて昼ごはんにした。

横瀬から小網代は体が距離を分かってる。いつものペースで漕ぎ戻り、満足して入江に滑り込んで舟を上げた。

クラブには先に二人が仕舞仕度を終えていて、同期は立石までは行かず、手前で折り返して俺の浜でのんびり、あとから出ていたしっかり者の後輩は、赤羽根でのんびりして来たそうだ。

釣りのお兄さんもボートを洗っていて、いい時期の鯛が3枚釣れたと、桜色のうろこに青の点々が光る桜鯛と嬉しそうな笑顔を見せてくれた。

支度を終えて、後輩の昼飯は食パン3枚、ちょうど腹が減ったとかで、帰り際に焼肉屋さんに寄って疲れた体を労って帰った。これからどんどん暖かになる。漕げるうちにバンバン漕ごう。