なんだか小網代が久しぶりな気がする。なんでだろう。理由を探しながらクラブハウスにやってきた。今日は風が強い予報で、遠出できるわけでもないので、のんびりと大先輩のツアー組と一緒に漕ぐつもり。
先に支度をして浮かぶ。タコクラゲが入ってきていて、濃い茶色で元気そうだ。堤防まで漕ぐうちに、先に出ていたなんでもやる先輩が戻ってきた。外に出たけど風が強くてかなわないから、湾内で釣りでもするそうだ。風が大変だからぜひ行ってごらんと言われて堤防を回る。
結構な風ですなあと重いパドルをジリジリと回して漕ぎ上がる。まずはスズメ島を越えるところで風のギヤが上がる。そこから黒崎の鼻を目指して真っ向勝負。まあなんとか舟を進めて、次は長浜で風が抜ける。黒崎の北側で浮かびながら佃の波を目を凝らしてみるけど波はなさそうだ。
それなら頑張る理由もないから、引き返してツアー組に合流しよう。帰りは下り坂。パドルが空回りするようだけど進みは早い。スズメ島でふと沖を見ると、さっきの先輩が北に向かってジリジリと漕いでいた。きっと湾内でクルクル回ってるのに飽きたに違いない。
入江の奥に戻ると、何人か浮き始めたところ。そのうちの一人が元気に挨拶してくれたのだけど、帽子、サングラス、それにマスクのような日焼け止めをしているから、誰だかピンとこず、曖昧な声で返事をしてしまって不義理をする。まあ、そのうちわかるだろう。
みんな揃ったので漕ぎ始める。今日はゲストさんもメンバーもたくさん居る。これだけ居れば一人くらいはひっくり返るものです。ヨットを抜けたあたりで早速一人が脱ったところを、遊び上手な先輩がさっとレスキューに入る。その人をケアしながら漕ぎ進め、いよいよ堤防を回って外に出ていく。
初めての人もいるけれど、みんなそれなりに漕いで進めている。たいしたもんだなあ。縦に伸びた最後尾についてスズメ島まで来た。まあ、ここまで漕げてるから平気でしょう。今日はメンバーの数も十分だし。
そうしてまたジリジリジリと漕いでとうとう黒崎の鼻まで到着した。たいしたもんだ!剣崎の風速計だと秒速7メートルくらい吹いてたけど、こっち側はもう少しあったような気がするなあ。ともあれ大したもんだ。
岩場の上の芝生に登り、みんなで昼ご飯。ここからの眺めは気持ちいい。風はあるけど晴れていて、海を広く見晴らせる。黒崎は近すぎちゃってあんまり上がらないけど、昼ご飯を食べるならやっぱりここが一番かも。ここでようやく、挨拶で不義理をしたゲストさんが誰か気づく。あー、あー、よく来てくれました。水が冷たいときでもいつも元気に泳いでるひとだ。今日はたっぷり泳げますね。
黒崎から先は進まなくてもいいよね、陽射しの下の芝生でのんびりしましょう。そうは言いながら、早めにあがるちっこい後輩をスズメ島まで送る話になってるので、ささっと昼飯をすませて二人で追い風の中に飛び出ていく。リスクの線引きは人それぞれ。できると思っていてもやらないのも正解。サカサカとスズメ島まで話しながら漕いで分かれ、僕はまた黒崎まで戻った。ゲストさんは丁度降りてきて泳ぐ様子。メンバーは芝生の上で、なんだかヨガのポーズを色々試していた。海鮮好きの先輩は、コロナで家に籠もっているあいだ、暇にあかせて柔軟していたら、なんだかできるようになったそうだ。
そろそろ腰を上げて帰りますか。次は俺の浜でコーヒータイム。帰りは頑張らなくていい。チョイチョイとパドルを入れて向きを直してたら直ぐに俺の浜まで着いた。スリムな先輩とイケメン後輩の三人で散々回り倒していたら、北風で流石に寒くなってきた。ちょうどコーヒーができそうなので上がり、岩場にぺったりと座って暖を取る。あー、温かい。また冬が来るなあ。海鮮先輩と六本木の後輩も横に来て地べたに座って一緒に温まる。二人は波長が合いそうだ。仕事はしっかりしてそうなのだけど、時折気が抜けると粗忽さが顔をのぞかせる。カヤック漕いでるときは一杯気を抜いてくれるといい。
そうしてみんなでコーヒーを飲んで、またゆっくり漕いで舟を上げた。駅まで送ってもらう大先輩の車中はゲストさんも含めて会話が弾む。京急が止まっていて、もっと先の久里浜まで送ってもらったけど、その伸びた時間も楽しく話せて、なんだかコロナの前ってこんな感じだったよなあ。またカヤックに来て欲しい。