そんなことをぼんやり考えながら入江を出て防波堤までやってきた。富士山をみながら箱根駅伝はもう出発した頃だろうなと考える。烏帽子岩のそばで浮きながらテレビ中継に映りたい。それで一呼吸したらとりあえず荒崎を目指す。海況が良いし、名島の鳥居を回ってから長者に参ろう。
荒崎までくると、崩れた岩肌が二箇所、大きく見える。左は稲村ヶ崎、右は長者ヶ崎。逗子の大崎はまだ隠れて見えない。左の岩肌を目指して漕いでいく。淡々と漕いで長者ヶ崎が近づいてくると、柴崎の建物の後ろから少しずつ大崎が見えてくる。目標をそちらに変えて、そのうち見えてくるはずの赤い鳥居を探しながら漕いでいく。
だいぶ近づいてようやく鳥居が見えた。鳥居によって富士山との間に入ってお辞儀をし、くるりと回って祠の下にできるだけ舟を寄せて手を合わせる。岩場の間でそうして少し浮いていたら、葉山の方からカヤックの一群が漕いできた。そのうちの一人がすれ違いざまに名前を呼んでくれて、知り合いなのに気づいて新年の挨拶ができた。今日はいい海ですもんね。
森戸神社の脇の川に少し入ってこちらも水面から社の屋根を見上げて手を合わせ、頭を下げる。これで折り返し。長者まで戻ったら砂嘴に舟をあげ、歩いて薮を抜け、西側の浜に腰をおろして昼ごはんにする。浜からの景色をぼんやりと眺めながら、若い頃の自分に心の中で悪態をついて立ち上がる。
長者のお参りもすんだ。世の中なるようになっている。呼吸を入れ替えてパドルを手にし、穏やかな海を佐島まで淡々と漕いでいく。途中久留和でカヤックの一群が沖から浜に入っていった。佐島のキラキラでは時間をとって、空をみながら寝そべって休憩した。浅い海底は砂紋が幾筋も見える。思えばここまでずっと底が見えている。三戸浜沖も小田和湾も底が見えていた。こんなに透明なのは年に一度あるかないか。漕いでいてとても気持ちがいい。
ここまできたら俺の浜までは一と漕ぎ。さっさかと漕いで浜に上がる。ここでコックピットの荷物を全部出し、海水で中を洗う。前回の年末サーフツアーで砂をいっぱい入れてしまった。奥のフットブレースの発泡スチロールも外して空っぽにしたコックピットに水をいれ、舟を揺らしてから一気に排水する。だいぶ砂が落ちて気持ちいい。諸磯の神社もお参りしようかと思ったけど、南はまたいく機会があるから今日はこれまでにしよう。荷物をもどしてまた水の上に浮かび、のんびりと入江の奥に戻って舟を上げた。
最後に白髭神社のお守りを買いに階段を上がる。正式なお参りは七福神ツアーの時にみんなとやりたいけれど、お守りを買いそびれないように先に社務所が開いている時間に行っておかないとまずい。ここ何年かでついた生活の知恵。ついでに手作り手袋を買ってホクホクした気分でカンカン石を叩いてから階段を降りて今日はおしまい。
新年の漕ぎ始めは穏やかな海だった。今年も安全に漕いでまわろー。
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