去年の忘年会は寒かった。荒崎の東屋で雨と風をしのぎながら、海の上のほうが暖かくて、すぐに舟に戻ったのを思い出す。今年は薄い雲もまばらな下を、みんなで舟を支度してでかけていく。総勢 13艇。
網代崎を南に回り込んで諸磯が見えると、追いの風と波。ちょっと押してくれる感じに合わせてダッシュしたり、それぞれのペースでバラバラに、それでもなんとなくまとまってもいて、みんなで航路を通るヨットを待ったりしながら赤羽根海岸にやってくる。
この頃には太陽がはっきり見えて、低い角度から照らされた岩肌が明るい。空、草、土の三色が三浦のトリコロールカラーだと思う。小さい浜にみんなで上がり昼ごはん。後ろの崖は北風を遮り、南からは日差しが体を温める。水もまだ暖かい。三浦のカヤックは今がベストシーズン。潮も澄んできれいだ。
のんびりと昼ごはんを食べたら、頭はクラブハウスでの飲み会にシフト。また洋々と漕いで帰っていく。クラブのペースだからスイスイ。長津呂崎を回ったあたりからはちょっと向かい風がしっかりとしてきたけど、全然問題なし。ちょっと早いくらいに小網代の湾に戻って舟をあげた。前漕ぎの後輩は来てなかったけど、その門下生の房総同期が「プラス50分」は漕ぎたいと言って、最後まで水の上だった。
みんなが仕舞支度を終えてクラブハウスに集まって、明るいうちから飲んで食べた。いろんな話があったけど、年を忘れ、また新しい年がやってくるのが楽しみだ。それでも忘れちゃ行けないこともある。アラン島の漁師の言葉をまた借りよう。
海が怖くないやつはすぐに死んじまう。出ちゃいけない日に出るもんだから。おれたちは海が怖いから、死ぬのもほんの時々だけ。
-- アラン島 ジョン・ミリントン・シング
海を知っていて、やれることは全部やって、それでも容赦ない時もある。諦観と達観を持って海を受け入れる漁師の言葉は機知にあふれ、海の魅力と怖さが余すところなく伝わってくる。これからもずっと、僕の慢心を戒めてくれると思う。
来週は裏の忘年会で波に揉まれにいく。今年の漕ぎ納め。やれることは全部やって今年も最後までクラブのみんなと楽しく漕ごうと思う。
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