ここ数日の天気予報は、曇りと出てても、土砂降りと晴れ間が繰り返して、足して割れば曇りなのかもしれない、そんな感じ。夜分から日が明けてもざあっと降っては落ち着くが小一時間の間で何度も繰り返した。それでもこの日は、午後に向けては上向くはずだからと、様子見で舟を出す。
ヨットの脇を抜けていくと、小網代の湾内ですでに赤潮が浮いている。あらまあ。波は全然ないから、クラブハウスで様子見をしているメンバーは出てこないかな。そう思いながら、堤防をまわって北に向かう。
赤潮の中を漕いでいると、パドルから水が伝って、小さな粒々が手に触る。それがいつもスイカの粒々のショリショリした感触を思い出す。なんとなくスイカっぽい匂いまでしてくるような気がする、そんな海を漕いでいく。
空を見ると、薄曇りを背景に、大島から佃嵐崎にむかって粘土を細長くまるめたような雲が一本通っている。佃の向こうまでその雲は続き、先の陸地では雨が降ってるみたいだ。
その雲を前に見上げながら、ささやかな向かい風を感じながら漕いでいたら、だんだん雲も僕の方に近づいてきたのか、黒崎の鼻あたりでいつのまにか雲が真上にあった。そして、北からの向かい風がぐんと強くなった。ちょうど風の押し合いの境だったんだろう。
一本の雲が南に押し込まれていったあとは、細長いまだらな雲がいろんな色に吹きちぎれて伊豆の方に広がる。木の肌がいろんな色になるレインボーユーカリという木があるけれど、青と白の間のグラデーションでその木を拵えたら、そんな空だった。日差しも見えて、とても気分がいい。
それで黒崎を越えると、長浜の湾が赤潮から茶色に変わった。この色は覚えてる。雨がふったあとの多摩川の色だ。一番川からの雨水で、湾全体が茶色にそまってるのかな。すげえな。ここまでくると、南からのうねりが入り出し、目の前の狭い岩場のポイントには良さそうな波がたっている。サーファーもいないし、まだ少し茶色い波で何本か遊べた。
南に目を向けると、一本の雲はすっかり消えて、もう夏の青空といえる天気になってきた。これで気分良く舟をあげようと折り返したら、NZ先輩がちょっとだけ舟をだしてきたのに行き合ったので、それで舟をあわせてクラブに戻っておしまいにした。
なかなか梅雨の明けない年だけど、お日様はもう夏モード。台風はもうちょっと待ってね。
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