クラブハウスには先輩が一人来ていて、釣りのしたくをして先に出ていった。見送って自分の薄い舟を一番下のラックから引き出すと、少し汚れが目立つ。
強い雨も降ったし、漕いでなかったから仕方ないなと思ってよく見たら狸の足跡だった。奥のバウから上がり、デッキの上をとんとんと手前のスターンまで来て広場に出たようだ。
隣の舟に比べて薄いしデッキも平らだから歩きやすいのだろうか。コクピットの中で雨宿りがてら粗相でもしたかと覗いたけど、綺麗に使ってくれたみたいだ。
けもの道になった舟は海で洗うとして、支度を終えて入り江に浮かぶ。小網代の森といえばミサゴとカニだ。そういう漫画がある。その漫画が大好きだった知り合いを思い出しながら水をかく。漕いだらこんなところだと知っていただろうか。小網代の森から歩いてきた狸が見た景色が思い出される。
ヨットを抜けて少ししたら、湾内なのに先輩が舟を止めて手を動かしている。寄っていくと、カンパチの小さいのが釣れたそうだ。群れを追って湾内をグルグル回るというので、分かれて堤防を回る。
台風のうねりがはっきりとあって、近場に期待せずに漕いでいく。SUPが一人見えて、やっぱりなと気を落としたところに、こちらに手を振ってくれた。波大好きの甲斐性大有りの先輩だった。
しばらくぶりで、波に揺られながら世間話をしばしする。そのうちに崩れ波を横にくらって、ブレースで持ってかれながら沈。それを合図に二人で波に遊びはじめる。そのうちに釣りに飽きたか湾内の先輩も出てきて波に合流した。
しばらく遊んで定刻組の時間になったので、挨拶して一人入江に戻る。丁度の時間でまた皆で漕ぎ出した。そんなに遠くまでは行けないだろう。淡々としたペースで漕いで、佃まで往復。風の上がりを気にしてそのまま折り返し、俺の浜で昼休憩に上がった。夏の日、のんびりと水に浸かりながら時間を過ごし、コーヒーまでご馳走になって入江に戻った。
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