小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2017年6月25日日曜日

次の舟

今クラブで漕いでいる舟はレンタル艇でなんの問題もないのだけど、三年生になった今、これからすこしフィールドを増やしていきたい。三浦以外の海に漕ぎに行きたい。

もちろんオルカヤックはまだあるけど、自分が漕ぎたいフィールドでは心もとない。これで海をソロ漕ぎしようと思っていた頃が懐かしい。

ともあれ、次のフィールドは「三浦以外でソロ」だから、「自分で運べる舟」という条件が自然と決まる。だけど僕には車の免許がない。なので移動は公共交通機関。

さて、ファルトか分割艇か。

まあ分割艇だね。

行った先でサーフがあればやりたいし、面白い岩場があれば入っていきたい。その時に多少船底をこすっても大丈夫な舟でないと、ソロではリスクがありすぎる。舟を雑に扱うつもりはないけれど、自分がやりたいことを思う存分やりたい。

そういう意味では、本当はポリの分割艇が欲しいとこだけど、手で運べるようなのはFRPのしかない。これはしょうがない。

ラダーはいる?

僕はいらない。ラダーがいるような海況をソロでは漕がない。そういうのはガイドツアーでラダー艇をレンタルして漕ぐだろう。「自分の」舟で漕ぐというセンチメントは僕にはない。


そうして次の舟がだんだん固まってきて、あー、舟ほしい。

今の舟



この6月でシーカヤックのクラブに入って三年目。今まで楽しく漕いだ。

漕ぐのはクラブのレンタル艇。使い込まれたポリ艇で、僕以外に使う人はいないから、レンタルといっても同じのをいつも乗れている。道具で大事なのは「同じものをまずは使い続ける」ということだと思うので、それがこのポリ艇を選んだ理由。バレーのアボセットという舟。

同じものを使い続けるというのはとても大事。特にはじめての時ほどそう。そうやって感覚のベースを作ってこそ、道具を変えた時の違いに気づけると思っている。

それで、このポリ艇を二年漕いでようやくベースができたと思ったら、案外この舟がとても良いことに気づいた。この舟、とにかく動かしやすい。

まず、舟を傾けるのがスムーズで、フラットとマックスの間のどこでも止まれる。舟によっては、止まりやすい角度を意図して作ってあるのもあるみたいだけど、アボセットはどのリーン角度でもスッと入れてピタッと止まる。どこか一定の角度に戻りたがる感じがない。サーフしていてリーンを微調整するときに、この無段階な感じがとても好き。


それから、マックス傾けた時の安定感。コーミングが水につかるくらい傾けても安定している。波のある状態で少し揺られても、全然ひっくり返る感じがしない。安心して舟を傾けられる。そういう意味では、マックスの幅が広くて、本当のマックスはもっと先なのかも。舟によっては、アボセットと同じ感じで傾けていると、ちょっと行き過ぎたみたいで沈したがるものもある。


それから小回り。アボセットをいい感じに傾けると、片側バックスイープだけでその場で回転できる。カーブじゃなくて、自分を中心にその場でくるくる回転できる。本当に turns on dime する。岩場の中で引き返すときなど良く使う。舟によっては、結構傾けても全然回らないやつがあってストレスがたまる。ボリュームも関係するのかもしれない。ボリューム低めの艇だと、回すときにデッキに水があたって邪魔をしてる。


スケグはついているけど、砂がつまって壊れやすいので、申し訳程度に出した状態で接着して殺してあると大先輩が言っていた。そういう意味でいえば風見はするけど、日帰りで岸ベタを一日漕ぐ程度の距離なら別に問題もない。


というわけでクラブで漕ぐなら正直このポリ艇で大満足。というか大好き。三年生になってもこの舟にお世話になります。どうぞよろしく。


2017年6月24日土曜日

20170624 くらげ

梅雨の前線位置に一喜一憂。土曜日はばっちり漕げそう。朝から動く。予報に違わず、陽射したっぷりで気温もあがり、風もない絶好の距離日和

ちょっと前に水が入ったカメラも、しばらくほったらかして乾いたらなんとなく直った。
ホワイトバランスがちょっとおかしい気もするけど、用は足りる。

がんがん漕いでいる同期と一緒に舟を出す。ひとり、昨夜から泊まった先輩がすでに出ている。荒崎に向かうと言っていたので、それを追いかけようか。

網代崎をみる。ピクリともしない。今日は波はなし。距離漕ぎに決める。荒崎-横瀬島かな。
暗く写ってけど明るい夏の朝
先輩を追って北に向かう。途中、黒崎の鼻を回ってくるSUPを見つけ、寄っていくと別の先輩。海況がよければ家の近くからSUPでクラブまでいき、そこでカヤックに乗り換える。今日は波がないですねーと話をして北に進む。

佃嵐崎近くで先に出ていた先輩が戻ってきたので三人合流。二人は定刻組に合流するというので引き返す。

網代崎で分かれてここからはソロで南方面。シーカヤックをはじめてこの6月から三年生。ようやく自信を持って城ケ島から東に漕げるようになった。

かすかな南からの向かい風。諸磯あたりなど、浅いところは底まで日が通ってよく見える。三崎港の堤防にとりつくと深くなって青みがます。ミズクラゲがたくさん出てきて浮いている。青い空と深い宇宙に挟まれた間をカヤックで進む。
深い青の中に銀河が浮くよう
長津呂崎も静か。はー。薄手のウェットを来ているので流石に暑くなる。その都度まわって潮を浴びるととても気持ちがいい。

安房崎について岩の間にはいると、緑のポリ艇がいて挨拶をする。三浦で自前のポリ艇は珍しい。親近感を覚える。

安房崎からは灯標とその先の横瀬島を目指して真っ直ぐ。淡々と漕いでつくと、青いファルトとすれ違う。挨拶をする。

潮が丁度低くて横瀬島定番の上陸場所が細長い。まあ、ソロだしそのまま引き返す。
横瀬島最高峰がさらに高く見える
帰りは岸べた。毘沙門あたりを漕いでいると、少し沖にカヤックの集団が見えた。先輩かなと思って寄ってみたら違った。ここ一番の天気だし、今日は普段よりもたくさんのカヤックを見る。

また岸に寄って少しの岩の間で遊ぼうとするけど、まあ、普通。盗人狩も穏やかだし、釣り人も多いしで入らず素通りして安房崎に戻る。こんどは緑のファルトとすれ違い、挨拶をする。

馬の背あたりで岩の間を抜けると、大先輩の定刻組とちょうど行き会ったので合流して赤羽根海岸でお昼ごはん。灰色の砂浜が日に焼けて暑い。一人早めに舟で浮かんで、海鵜の絶壁のしたあたりで普段ははいれない洞窟で遊ぶ。

あとは定刻組とタラリと漕いで湾内に戻り、最後にパチャパチャ遊ぶ。都合30kmくらい。舟を洗うシャワーをそのまま頭から浴びればさっぱりできる時期になった。来週は土日どちらかいい天気になりますように。



2017年6月18日日曜日

20170618 梅雨寒

本当ならまるまる一日漕ぎたかったところだけど、梅雨寒の一日で北寄りの風が弱くはない。近場で遊ぶつもりで朝から三浦に。

横断組から何人か、前日そのままクラブに泊まった。それが朝起き出してきたところにクラブ着。自分の舟の支度をしつつも、横断の話を聞きながら舟の片付けを手伝う。舟の積み下ろしをやるには人手がいる。四人乗りやタンデムなんかは分割されているとはいえ一人じゃ無理だ。

ガンガン漕いでいる同期はそういうのに気がつく人で、大先輩一人の作業にならないようできるだけ予定を回しているのに頭がさがる。

最近入会したクラブの後輩も漕ぐというので、曇り空の下を二人で漕ぎ出した。気温も低く、水を暖かく感じるくらい。まるで冬の海だ。

停泊ヨットの間をとおらず、また養殖の網も避けて、湾奥から堤防までは北側の岸寄りを漕ぐこと、等々、漕ぎながら注意点を伝えつつ堤防まで来て外に出る。

荒崎方面の北を向くと、向かい風ながらうさぎは飛んでいない。様子見ですずめ島まで漕いで、全然平気そう。北東の風だと、すずめ島から強まって三戸浜で抜けやすいので、ここを全力漕ぎで漕ぎきりましょうと声をかけて黒崎めざして風の中に出る。

後輩はがっしりした腕でガンガン進む。カヤックを始めたばかりなのに、速くて追いつけないくらい。これなら黒崎まで行けそうなのでそのまま進む。無理なら途中で引き返そうと思ってすずめ島を出たけど、全然心配ない。

さすがに10分くらいしてペースが落ちたけど、三戸浜はほぼ渡りきった。弱まる風のなか流して風裏に取りいて一休み。フォワードストロークが洗練されてきたら、とんでもなく速くなると思う。

無理して進むこともないので、すずめ島まで引き返す。5mmのフルウェットを借りて着ていた後輩はとても暑そう。やりたいというのでここでロール練習。芝生の上で数回、体の使い方を説明して実地。一発で上がる。細かい調整で声をかけたけど、一度もサポートの必要なく、沈脱もなくロングロールは上がるようになった。

それならと思って湾内に戻り、シーボニアの岸壁前でもう一度ロール練習。北寄りの風浪があるときは、三角波が立って良い遊び場になる。ここでもロングは失敗なく上がる。

それならショートでやって失敗したところをロングに持ち替えて上がってみたらとチャレンジしてさすがに沈脱。そのまま馬乗りをやるけどこれも三回チャレンジであがれずギブアップ。そんなに強い三角波でもないけど、静水とは違う感じを味わってもらってTレスキュー。

水遊びを楽しんでもらって、まだまだソロでは湾内ですかねー、という雰囲気になってクラブに戻って昼に舟を上げた。

水につかる人はすぐにうまくなって波乗りもするようになると思う。これから一緒に楽しめそうで嬉しい。

2017年6月17日土曜日

20170617 キラキラした日2

一日晴れて、風もそんなに吹かない予報。朝から動けば夕方からの都合に間に合うとわかってでかける。

今日はクラブの有志で相模湾横断する日。四人乗り、タンデム、シングルそれぞれ一艇ずつで七時にはもう舟が出た。参加できなかったけど、水平線の向こうによく見える伊豆半島を見て、横断組の健闘を祈る。

いたずら好きの先輩がちょうど舟を出すところで、一緒に湾を出る。タコ好きの先輩がすでに沖網代あたりまで釣りに出ていて、そこに呼び出しをくらっているという。北からの風を強く感じて、ちょっとビビりながらついていく。

沖網代で合流して少し流されながらどこに行こう。先輩二人は剣崎まで漕ぐというので、安房崎までついていくことにする。

岸には寄らず、追い波に真っ直ぐ押されながら飛ばす。はっきりした波乗りとは違うけど、パドルが軽くて爽快。安房崎について岸による。先輩二人は鳥山を見つけて突っ込んでいったので、僕はソロで引き返し。

長津呂崎も静か。諸磯をすぎてようやく風浪がちょろつく程度。とても良い日和で、もう少し距離を伸ばしたくなって佃嵐崎まで往復して舟を上げた。

帰りの電車で横断組が無事真鶴に到着したことを知る。すごいなー。おめでたい。七時にでて三時について、道中八時間。速いなあ。四人乗りのスピードにシングルでついていった大先輩の貫禄にしびれた。横断組全員が普段の漕ぎを着実に積み上げての結果で、自分のことのように嬉しいし誇らしい。

海・人・舟をまじりっけなしに楽しんでいるこのクラブの一員で本当に良かった。

2017年6月15日木曜日

20170615 きらきらした日

木曜が風が落ち着いてて天気も良い絶好の日和っぽかったから漕ぎにきた。小潮に向かう中潮で動きは少ない。

会社に行くのより早い時間から動く。平日なのでクラブハウスには誰もこない。ソロだし、気ままに距離を漕ぎたい。支度をして舟を出す。

網代崎まで出る。かすかなさざなみで海は静か。うねりもない。空は霞んでいて富士山は見えない。湿った夏の陽気。

網代崎の写真を撮ろうと思ってデジカメをちょっと水につけたら、気密の蓋がきちんと閉まってなくて壊れた。あー、またやっちゃった。直すまでしばらく写真無しだなあ。

そういえば、朝の電車で荷物を網棚から下ろすとき、かすかな細い筋が腰の中で一本だけ切れた感じがあった。アルデンテなスパゲッティのあるかないかの芯が折れたと言えばいいか。なんかついてないと思ったけど、実はとても良い日になったことが翌日にわかって、これを書いている今はとても気分がいい。


壊れたカメラを防水バッグに仕舞う。乾かしたらまた動くかもしれないと期待も一緒にこめる。さてどこに行こう。

そういえば、ファルトの後輩に「今日どこ行ったの?」と聞いたときの、「西にいきました」と言う返事を思いだす。僕は沖にでるのは怖いけど、こういう日ならと思って、まずは沖網代・亀城礁・荒崎タッチで戻る。

沖網代も亀城礁もとても穏やか。隠れ根の頭だけ和紙漉きみたく洗われている。波乗りはできない。また網代崎まで戻る。


お昼前だし、横瀬島まで往復して帰りは南風で帰ろうと漕ぎ出す。諸磯も三崎港の堤防前もだるい感じ。長津呂崎にとりついて城ヶ島の南岸に入ってようやく舟が揺られるようになってきた。

安房崎の灯台で一旦考える。ここまでほぼ無風の状態。なのに長津呂崎手前は波があった。マピオンの三浦の風予報が午後で5m/s 。だいたい倍吹くという僕ルールがあるので、10m/sくらいは当然。GPVの予報も午後一から夕方まで10m/sの予報だった。夕方になると落ち始める。


10m/s 吹いてどのくらいの波になるか。


まあ、漕ぎ上がれない強さじゃないし、大外を回れば大丈夫。ゴー。

たいらな海を淡々と横瀬島までいって昼ごはんを食べる。東風崎の灯標も横瀬島も波がない。

折り返して帰りは岸ベタ。盗人狩に入って出て、宮川あたりから安房崎に戻る。だんだん南風が強まり、安房崎灯台についた頃が剣崎で9m/s吹いてた時間帯。安房崎の岩の間から南の海をのぞくとだいぶうさぎが飛んでる。やっちゃったか。


本当にまずかったら三崎港の中を通してもらうつもりで漕いでいく。馬の背洞門あたりから長津呂崎を回るまでが三角波でなかなかしびれた。それをすぎるとどんどん波は落ちていって、釜根の浮標ではもう落ち着いている。三崎の堤防を回って諸磯が見えるともう凪いだ。


ほっと一息ついて、おやつ食べたり、諸磯のきらきらした海でロール練習したりしながら南風にだんだん流されて湾に戻って舟を上げた。

都合30kmくらい漕げたし満足。

2017年6月10日土曜日

20170610 強風

知り合いが土曜にカヤックのツアーに申込んだので、一緒に同行するために三浦にでかける。土曜は昼前から風が強い予報で、小網代湾の外には出られないだろうけど、水も日差しも暖かだから楽しみ方は色々ある。

少しは距離も漕ぎたいので、始発電車から動いて早めに舟を出す。まだ風はない。網代崎はぴくりともしていない。南に向かって諸磯を抜け、三崎港の堤防にタッチして小網代の湾内に戻ると、大先輩の車で定刻組が到着してきた。

朝のうちは風も波もない 
諸磯の中もまだ静か

漕ぎ方の簡単なレッスンをやって、ツアーのみんなが湾奥に浮かぶ。知人の二人も初めてのカヤックを楽しんでいる。ひととおりしたらヨットを抜けて堤防まで行ってみる。まだ風は落ち着いている。でも、網代崎をちょこっとだけ回ってみたら向かい風が強い。無理せずみんなで湾内に引き返し、風裏の浜辺に上がってお昼ごはん。

風がどんどん強まるのは予報どおり。水はあたたかなのでレスキューのデモなどを織り交ぜつつ、海の上で時間を過ごす。一番風が強まる時間になったら湾奥まで全員で戻り、めいめい遊んで少し早めに舟を上げた。

ツアーのお客さんは次のカヤックの予定がもう決まってる人ばかりだった。新谷さんの知床ツアーに参加する人や、沖縄のカヤックツアーに参加する人などで、今日みたいにちょっと強い海況で漕いでおけて良かったんじゃないかと思う。






2017年6月3日土曜日

20170603 パヤオ

一日漕げる土曜日。風は終日弱く、予報どおり。

距離を漕ごう、できれば江ノ島を一周しようと始発で動く。三崎口駅についたのは朝六時半くらい。小網代に向かうバス停にいったら、タコが好きな先輩がカヤック用のセールを持って並んでた。

一緒にバスに乗って、今日は風も穏やかそうですねー、とバスが出るのを待っていたら、いたずらっ気のある先輩が入ってきた。随分忙しいようで、お会い出来るのは本当に久しぶり。一年半くらいじゃないだろうか。とても嬉しい。江ノ島は忘れて、一日この先輩にくっついて漕ぐことにする。

クラブに入りたての頃、いろいろ連れて回ってもらった。三崎の堤防の中にわけもわからず着いて入っていった。あれよりまずい状況は今でもまだ無かったんじゃないか。

だからこそ、この先輩が行くところはどこでも着いて漕げるようになりたいと思ってた。今日はハレの舞台ってところ。

三人でクラブハウスに歩いていると、家からSUPを漕いでやってくる先輩が湾内に見えた。クラブにつけば金曜から泊まったファルトの後輩が舟を出すところ。聞くと、還暦すぎたレジェンド先輩はすでに出ていったそう。まだ七時前なのに、都合6人がバラバラと集まっては遊び始めてる。

バス組とSUP先輩の4人で支度を終えて舟をだす。どこに行きましょうかーという探り合いの会話に、「GPSはパヤオにセットされてますよ」といたずらの先輩が応える。

待ってました。

気持ち午後には南風が上がる予報ではあるけれど、今日行かなければいつ行くの、という海。おともさせてください。

相模湾にはパヤオ(浮き魚礁)が幾つかあるけど、僕らがカヤックで行くのは城ヶ島から南西8kmにある城ヶ島南西沖浮魚礁浮灯標のこと。

諸磯までウォームアップで出て、そこから見える大島の右端を目指してこぎ始める。まだ水平線の向こうで見えないけど、その方向にパヤオはある。

右手には富士山、左手には城ヶ島が見える。その間を、大島と伊豆半島の間くらいに向かってたんたんと漕ぐ。うねりはない。


途中、SUPでクラブに来た先輩が引いているカヤックトローリングにワカシがかかった。糸を巻き上げると魚は随分元気がなく簡単に釣り上げられた。仕掛けを流してるわりに、この先輩はいつもあたりに無頓着で、針にかかったまま魚は随分引きづられて疲れたんだろう。

逆に、釣りが好きな先輩は、かかったらすぐに巻き上げて、元気に走られて一度バラしていた。

そうして魚がかかりだした頃、水平線に白い柱のようなものが小さく見えた。どうやらパヤオらしい。舟とかじゃない。思ったよりも右側にあった。そちらに向かって漕いで行く。
城ヶ島沖のパヤオ
だんだん大きくなって、後ろからの追いの風浪にのって気持ちよく飛ばしてパヤオ到着。みんなで写真を撮ったり、一休みして城ヶ島に向かって戻る。

戻る途中、こちらに向かって漕いでくるカヤックが一人。なんでもやる先輩だった。パヤオ行きのメールを見てあとから追いかけることにしたけど、見えないパヤオにむかって「やべーやべー」思いながら漕いできた。落ち合えてほっとしたそうだ。

一緒に城ヶ島に向かう。さらにもう一人の先輩は、横瀬島まで行ってサーフをしているので、これからもどって全員が赤羽根海岸近くの小さな浜に集合。大先輩とレジェンドの先輩を除けば、この5人の先輩が漕ぎガシラってことだなあ。


昼も終わって城ヶ島から戻る。途中の長津呂崎の手前。岩と岩の間でワシャワシャしているところを、なんでもやる先輩がチラチラ見ながら通り過ぎる。僕も面白そうだと思いながら漕いでいると、先輩が振り向いて「ポリなら行けるんじゃないの」と水を向けた。

いたずらの先輩にいいとこ見せようと思って、「そっすねー」と軽く受けて岩の間に入っていくと、狙ったタイミングが最悪で、思いっきり引いた波にひっくり返されて沈。失敗したくないのでロングで上がってそのまま漕ぎ抜けた。見栄をはるとろくなことはない。

長津呂崎を回ると南風が追い風になるので、先輩がセールを立てた。三崎港の堤防の前はわりと三角波でがちゃがちゃする中を、楽々風で進んでた。パドルはブレースするだけ。そんなに風はないのに早い。

諸磯の中も波はなく、先輩の何人かは網代崎を回って帰ったけど、僕はそのまま佃嵐崎まで往復して定刻組に合流した。

夕方が近くなっても太陽が高いから、日差しがまっすぐ海の中に届く。水の中はきらきらして底がちかい。久しぶりに逆さの写真を撮った。梅雨の前の夏。空気も乾いていて暑すぎず、本当の夏よりも良い夏の一瞬を、小網代の森のホタルと重ねて楽しんで帰る。来週も晴れますように。