釣り人の朝は早い。年食うと起きるのが早い。年をとった釣り人はとっても早い。4時になる前から車がやってきてボートを支度しては釣りに出ていく。その音を聞きながらぬくぬくとクラブハウスで寝続けて、さっぱりと目が覚めて歯を磨く。一日曇りだろう。大潮。
前漕ぎの後輩がくるのに間に合うように朝ごはんを食べ、なんとなく準備を始めておく。NZ先輩、手漕ぎの先輩、早起きの後輩ものんびりと動いてる。水野さんの車はもう出ていった後だった。
そのうちに前漕ぎの後輩とその一番弟子が車でやってきた。前漕ぎの後輩はもう今年に入って 800km 漕いでるそうだ。まだ6月に入ったばかりというのにすごいペース。このまま漕ぐと一年で 2000km 行くなこりゃ。
今日はその後輩がグループのリーダとなってちょっと距離を出す。支度をしながら行く先を名島と聞く。了解です。グループのメンバーは、房総同期、NZ先輩と僕で全部で四人。浮かんだら堤防まで出て先を見る。
風のない相模湾は低い雲と濃い霞でぼんやりしてる。亀城礁が見えてくるまでしばらくかかる。沖に出るとトビウオが飛び出した。丸々太った胴体がしっぽをビビビと震わせしっぽ立ちし、ヒレを張ったらすーっと飛んでいってそのうちポシャんと落ちる。いつみても美味しそうだ。
亀城礁について一休み。今日は50分漕いで10分休むの繰り返し。亀城礁の岩場にはスズメダイの群れがいた。光るような青色が群れてると見栄えがする。NZ先輩はここで折り返して大先輩のツアー組に合流する。またあとでー。
亀城礁の次は直接名島を目指すけど、裕次郎灯台も名島の鳥居も見えるわけが無い。灰色の階調がなんとなく違う岬の一つに決めて、そのちょっと沖を目指して漕いで行く。漁船をさけたり、網を避けたりでまとまりながら漕いで名島についた。途中、ウミスズメを見た。ウミスズメとスズメダイを同時に見れたのは不思議だ。
名島についたら引き返して長者を目指す。途中鮫島の岩場を抜けていくところで知り合いにあった。向こうから、オレンジ色が眩しいカヤックに乗ってグリーンランドパドルを持ったグループが来るなあと思いながら挨拶をしたら、グループの後ろの方で手を振ってくれて気がついた。おー、ご無沙汰、元気そうでなによりー、と声を掛け合ってまたそれぞれ進んでく。こっちのグループはなんだか僕らより華やかな気がする。
房総同期が、そろそろ背中の筋肉がバリバリになってきたといってストレッチをしている。立石まで戻ってちょうど20km 。いいところの筋肉で漕いでるね。長者の砂嘴は浅くて盛り上がり、南側も岩場が出て通り抜けるのが骨なので昼休みは立石にした。
ここまで戻ってれば安心。まだまだ南風も上がる気配がない。今から出れば、大先輩のツアー組に簡単に合流できる。そうやってツルンとした小田和湾を渡って荒崎から沖網代。ここまで来たら、もう少し戻って距離を伸ばすだけ。ついでに釜根をタッチして引き返したら、ちょうど大先輩達が俺の浜から出てくるところに行き会えた。
沖から浜を目指して漕いで行くと、ツアー組の人たちがわらわらと浮かんで来た。そのうちの一人がこちらに向かって漕いできて、少しして止まるとコクピットの中からパーコレーターのポットを出して掲げた。小さい後輩の洋上コーヒーデリバリー、いただきます。
近づいて大先輩のシェラカップを受け取り、コーヒーを注いでもらう。もうだいぶ冷めていてこぼしても危なくない。それだけ浜でのんびりとコーヒータイムをしていたんだろう。このシェラカップはもう買えないやつなのだそうで、海に落としたら大変。気をつけて受け取り、飲み干したらPFDのカラビナにきちんと繋いでおいてから漕ぎ出した。
みんなで一緒に湾内に戻ると、リーダがこれで 38km こいだと教えてくれる。そしたら、せっかく後少しで40kmなのだからと、リーダは房総同期とあと 2km を漕ぎにまた堤防に向かって引き返していった。さすが前漕ぎの師範と弟子だ。この弟子は女性ながらも僕らと一日よく漕いだと思う。これなら、江ノ島往復もシングルで十分やれるんじゃないか。期待が膨らむ。
残りはのんびりと帰り、みんなで舟をあげておしまい。雲は厚かったけど、一日漕ぐ続けてちょうどよい陽気だった。知り合いにも葉山で会えて嬉しかったし、洋上デリバリも美味しかった。何より、人と一緒に思う様一日漕げた。これもクラブ様々だ。来週も楽しく漕ぎに来よう。
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