小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2023年5月28日日曜日

20230528 おおつかね

 五島で白い砂浜をみたので、負けん気を起こして三浦の浜を回ることにする。それに、大塚寧々似と言われたこともある知り合いが今日は三浦の道草マラソンに参加しているので、それを海から応援できるかとも思う。

舟をコロコロと引いて浜から舟を出す。スタート地点の三浦海岸に向かってちょっと漕いでみたけれど、さすがに走ってる群れから当人を見つけるのは無理だった。諦めてバウを返し、久里浜の堤防を回り込む。今日は小潮の下潮の中を漕ぐことになる。

岸べたを楽しむのは帰りにとっておいて、まずは観音崎をまっすぐに狙って漕いでいく。なんだか船が重い気がする。先週はポンポンと漕げてたきがするんだけど。観音崎にとりついてその先、旗山崎まで漕いで見たらだいぶ疲れたのでここで引き返す。次は猿島まで行ってやろう。

距離はさておき、東京湾で楽しいのはこのあたりまで。馬堀海岸までいくと岸壁になっちゃってあがるところもないしね。旗山崎の浜でまずは目を楽しませて岸沿いに引き返す。

次は観音崎の浜で上がってトイレを借りる。ロータリーの食堂をみたら、地魚の刺身定食がおいしそう。マゴチやらなんやら、六つくらいお魚がはいってる。飛魚がないのが残念だ。ここまで漕いでる間に何回か見た。

観音崎を出たら次はタタラ浜に回り込んで、浜の賑やかな華を楽しみながら橋の下までくぐって漕ぎすぎる。お昼は鴨居のひっそりとした浜にあがってのんびりとする。

鴨居の先はかもめ団地から浦賀を湾まで全部岸壁だけど、静かは静か。浦賀の渡し船の愛宕丸が行ったり来たりしているのを見ながら浦賀の奥までいって引き返して燈明崎にあがる。ここの浜も綺麗で気持ちがいい。旗山崎、タタラ浜、燈明崎、このあたりのキラキラ感が大好きだ。


燈明崎を過ぎたら久里浜だ。金谷からのフェリーが来たので、赤い灯標にひっついて待ってるかと漕いできたら、「おおつかね」と書いてあった。おおつかね、ねー。かわいい名前だねー、なんて思いながら、だいぶ上がってきた南風をブイの陰で避けて時間をすごす。フェリーはこの赤い灯標と黒白のアシカ島灯台との間を抜けて入っていった。

さて、どうしようか。まっすぐ久里浜の突堤を目指すつもりだったけど、時間はまだある。アシカ島の灯台はなんとなく雰囲気があって好きだ。それではと漕ぎ出したら、向かい風と追い潮が喧嘩しあってるみたいで、結構ドンブラとしてきた。これを漕ぐのは大変ですなあ。アシカ島には釣り人が何人かいた。この波の中、船の舳先に飛び乗るのは大変そうだ。

気が済んだので、突堤を目指す。左から結構風に吹かれてるはずなのだけど、あまり流されない。それだけ右からの潮の流れがあるんだろう。小潮の下潮いっぱいの時間帯のはずだ。なるほど。

突堤にとりついてからは、なかなか船足が伸びない。突堤沿いに流れができてるんだろうか。このあたりも漕ぎ慣れてみないとわからないな。テトラの列に辿り着く前に、南からのうねりで波遊びできる場所を見つけた。急に掘れてバウを刺しそうだけど、ヘルメットを持ってきたらだいぶ遊べそうだ。

だらだらとはいえ、日がな漕いだのでもうそろそろいいでしょう。テトラの内側を滑り抜けて舟を上げた。



2023年5月21日日曜日

20230521 あついかさむいか

GWが明けても天気のサイクルは同じで、ようやく漕げそうな日曜を待って三浦に。

キャンプツアーの余韻で、分割艇を漕ぎたいような気もしていて、どっちで漕ごうかぼんやりと考えながら電車に乗っていたら、筋トレ後輩から連絡が来て、それならとクラブに行って薄い舟を支度する。

支度をしていると陸ではもう暑い。服装を悩むけど、初心に帰ってドライトップと薄手のウェットを着込む。気温じゃなくて、水温に合わせた服装を。暑かったら水に浸かればいいんだよ。水に一番近いのカヤックの真骨頂。それを堪能しよう。

後輩と二人で漕ぎ出す。後輩も五島のツアーに申し込んでいたのだけど、どうしても変えられない予定が入ってしまい、泣く泣くキャンセルした。去年は一緒に周防灘を漕いで楽しかった。また次のツアーでリベンジしよう。

午前中は風がないけど、正午あたりから南が上げてくる予報。ササッと剣崎まで漕いで戻って大先輩と合流する心づもりでサクサクと漕いで行く。空荷の軽い舟、気にせず気ままに漕げる海況、舟が弾む。三浦もいい海だ。

三崎の堤防に向かって漕いでいると、二人組のカヤックとすれ違う。いい海況ですねと挨拶したら、でもこの先は少し吹き始めてますよと教えてくれた。それもまた楽しかろう。

風というより、うねりっ気がある海で長津呂崎はザブザブしてる。潮も引いてきている。城ヶ島の隠れ根も少し沖に逃げたほうがいい。そうして安房崎を越えて横瀬島までやってきた。ここまで追い風で暑い。水につかってシャッキリとした。

後輩は追い風の暑さに弱いので、剣崎まで行く気がなくなって、横瀬島で折り返すことにする。濡れた服にこの時期の向かい風は丁度ヒンヤリとする。体を動かしましょう!

安房崎まで戻ってきたら、イケメン後輩がゴリラで漕いできた。3人になって一緒に折り返す。三崎の堤防を回ったら黒鯛込に人影が見えたので寄っていったら、はたして大先輩のツアー組だった。

僕らも舟を上げて昼ごはんに合流する。遠くからの夫婦のゲストさんが居て、何十年のキャリアで漕いでいるらしい。そちらの地元は漕ぐ人もまばらで、こうやってバラバラと海から人が集まってきて増えていくのが面白かったそうだ。旦那さんは日焼けの仕方もいかつくて、さすがの貫禄。パドルのさばき方も勉強になる。全国でここは漕いだほうがいい場所を一つ上げるとしたらどこを選びますか?と聞いたら対馬と教えてくれた。覚えた。

ゲストのもう一グループはヒーロー後輩の知り合いで、少し離れたところでミニBBQ台を使って駅の売店で買ったサザエを焼いて楽しんでいる。皆初めての様子で、三浦の休日を余すところなく楽んでもらおうとするホスト精神はさすがです。

そうしてのんびりと昼を過ごしたら、ご夫婦は帰りの飛行機があるとのことで油壺の小休止をはさんでの直行小網代。入江に日の高いうちに滑り込んで舟を上げた。

今日は海で他のカヤックグループも一杯見た。気温も水温もこれからズンズン上がってきて、海が賑やかになる。また夏がくるなあ。








2023年5月7日日曜日

20230428 - 0507 五島列島 福江島一周

 

GWはまるまる使ってクラブのツアーで五島列島に行く。予定は福江島をキャンプ泊しながら一周。とはいえ天気予報がかんばしくなく、前半四日間が漕げるかどうか。昨年のシルバーウィークも五島ツアーが企画されていたのだけど、ちょうど台風が直撃していてキャンセルになった。リベンジなるか。

4/28 横須賀 - 4/29 新門司フェリー行

参加メンバーは八人。うち七人は横須賀港と新門司港を結ぶフェリーに乗っていく。もう一人は参加申し込みが遅れたのでフェリーの空きがなく、博多港での待ち合わせ。博多港から福江港にさらにフェリーに乗り継ぐ予定となっている。

それがいろいろすったもんだで、臨機応変になるのがツアーの醍醐味。大先輩が色々頭をひねり、博多からの29日夜のフェリーには間に合わなかったけど、長崎から翌朝のフェリーで福江に渡ることになる。九州行きのフェリーでは携帯が繋がらないことが多くて大変気を揉んだ。

博多港で一人待っていた後輩が、船を見送る写真を送ってくれた。せつない。


4/30 長崎 - 福江フェリー行

新門司港から長崎港に車で移動し、24時間営業のスーパーでキャンプの買い出しも済ませる。それで港に着けば空も明らんで、数時間で福江島に向けて出港。雑魚寝部屋で昨晩の睡眠を取り戻す。

浜田の浜 - 堂崎教会 - 六方の浜



いよいよ出発!福江港から出発地の浜田の浜に移動して、カヤックの支度をする。ここから出発して右に漕いで行き、数日後には左から戻ってくるはずだ。少し眠いけど気分が上がる。午前中はまだまだ吹いていた北風でうねりっけのある波が入っているけど、糸串崎を回って島の東側に入れば収まるでしょう。

後で聞くと、車中泊が応えてこの漕ぎが一番つらかったという人が結構いた。そんな感じでドンブラされながら糸串崎を周り、ドンブラ波は減ったけど今度は向かい潮の潮流で、それを岸寄りに避けながら南下していく。途中、堂崎天主堂に寄ったのが五時過ぎか。西の方なのでまだまだ明るい。

堂崎から出てきてさらに南に行こうと漕いでいると、一旦通り過ぎた釣りのボートが戻ってきて寄ってきた。逆潮だから気をつけろよと何度か声をかけてくれた。ありがとうございます、気をつけていきますと返事をして別れた。ありがたい。

もう少し漕いで六方の浜について、今日はここでキャンプ。なんだかんだで午後だけで 22キロほど漕いだか。すぐに日も落ちて、初日の疲れもあり夕食が済むとテントに引っ込んで皆寝た。


5/1 六方の浜 - 鐙瀬の漁港 - 富江の浜 - 津多羅島

日が出るとみんな申し合わせたようにごそごそと起き出してきて挨拶をかわす。熟睡できたようだ。今日は行程が一番長くなるかもしれないので、みんなやる気満々。ここで頑張っておけば一周が見えてくる。準備がすんで大先輩の周りにあつまって海図を見ながら今日の行程の確認。八時には浮かぶ。

浜から漕ぎ出してすぐに福江の港への航路を横切る。みると、フェリーが港に入ってくる。これはきっと僕らが乗りそこねた博多からのフェリーだ。おーい、乗せてくれーとみんなで嘯いて南を目指す。追い風でぐんぐんと稼ぐ。

島の南側に入って溶岩の海岸を漕いでいたら、奥まった入江いっぱいに鯉のぼりが渡してあった。海の上にゆっくり大きな鯉のぼりがいくつも泳いでいる。それを下から眺めながらゴツゴツした岩っペリを漕いでいく。溶岩の岩は黒い。そのせいか、三浦の海と同じ色な気がする。漕いでいてすごく地元感がある。

お昼が近づいてきたところで、小さなスロープにあげさせてもらい昼休憩にする。北寄りの風の予報だったけど、少し西成分も入っていて向かい風感を感じはじめた。みんなスロープで昼寝を始めたので、ちょっと堤防の上にいって風の様子を見に行った。それで戻ってきたら、上げてきた潮に自分のカヤックがぷかぷか浮いていた。あぶないあぶない。シリアル兄弟の後輩が捕まえてくれた。

思ったよりも北西の風が強い。できるだけ横風になるような方向に岸を回り込んでから、広い湾の向こうに見える富江の浜に向かって湾を渡り出す。白い砂が景色の中で光っている。湾の中に出てきたら風も少し落ちてきて、その後はすんなり進んで浜に上がれた。



富江の浜は横にキャンプ場があって、トイレも多目的トイレだけは開けてあって使えた。人心地がついた。ここまで結構向かい風の中を漕いでいてもう三時。日没が遅めとはいえ、向かい風の中、今日の目標の津多羅島まではまだ遠いなあ。がんばろう。漕ぎ出したら岸沿いに丸く回り込んでいくつか岬を過ぎたら最後に津多羅島が見えた。

そこからは真っ向西風と勝負。島に向かってじりじりとパドルを回す。それなりなドンブラ加減になって落ち込んだバウが波をしきりに掬う。楽しくなってきた。先を行っていた大先輩もしんがりについて、「だいじょうぶです。進んでます」と声を出す。シリアル後輩はそれを聞いて「ああ、俺、進んでないんだなあ」と思ったそうだ。安心してください、進んでます。でなきゃ引き返してます。

さっきの富江の浜は明るい海と白い砂でカラフルだったけど、津多羅島への渡りはモノクロームな印象しかない。ずっと晴れていたはずだけど、島に重なる西日を睨みながら白黒の印象の中をひたすら漕いで、六時になってようやく島に近づいた。


島上陸のために南側の浜に近づいて様子を見ると、大きめのゴロタの浜で角度もついている。足元に気をつけながらまだまだ重い舟を手分けして一段上に運び上げ、ようやく落ち着いた。浜のすぐに岩壁が立ってそれを見上げる。いやあ、厳しい。南風で波が入ってたらなかなか無事には上がれない。その場合は島の北側のほうがいいのかもしれないけど、条件が良ければ南の方が雰囲気がある。あげた舟の中から地元の五島ワイナリーのスパークリングワインを取り出して栓をスポーンと抜く。みんなで回し飲みをして喜びを一緒に味わう。今日は33キロほど漕いで、ここでちょうど半分くらい。

明日は難所の大瀬崎を回るけど、海況は期間内で一番いい。大先輩の計画はさすがだ。潮周りを考えると明日の出発は遅くていい。だから今晩も明日朝も、この人の気のない島でゆっくり過ごせる。日が落ちる中テントをはって、綺麗な月が高く上がる中、みんなで遅くまでのんびりすごした。シリアル兄弟の先輩は、ひっくり返っている海亀の横に気にせずテントを張っている。騒がせたかわりにレンタルテントのペグを奉納してきたらしい。こらぁー。



5/2 津多羅島 - かやば浦手前の砂利浜 - 大瀬崎 - 玉之浦の浜 - 砂利浜

のんびりとは言っても、結局みんな日が出たら起きてきて、いつもどおりに朝ごはんを作って食べる。11時出発の予定が準備の進みぐあいでなんとなく早まって、10時半には海の上に。早くつきすぎてまだ潮が流れてたらゆっくり休憩しようということで出発。途中、小さな砂利浜の休憩を挟んで大瀬崎が見える岬を回り込んだ。


第一印象はブルーチーズ。細かく縦横に青カビの入ったスチルトンかピカンテ。ナイフで切ってもぐずぐず崩れてこない硬そうなやつ。断面が真っ直ぐ綺麗だなー、でかいなー。こんなところに潮なみとうねりと風が寄せて返してたら恐ろしい恐ろしい... この岬は海図によると 3.3 ノットは流れるらしい。恐ろしい恐ろしい。そう言いながら今日の海況はちょうど潮も止まったかのっぺりとした海面で穏やか。上の灯台が見えなくなるまで岩壁に寄って上を見上げる。隠岐の島の摩天崖の方が高いけど、壁の平面感はこっちのほうがすごい。

崖の上から手を振ってくれる人がいる。こちらも手を振りふり灯台を回って北に向きを変えた。本当に良い海況でここに巡り合わせてよかった。大先輩は一仕事終えた安堵からか眠そうに漕いでいる。まだまだ続く岩肌を楽しみながら島山島との間を回り込み、玉之浦にある小浦の海水浴場に午後の休憩に上がった。

浜には家族連れが一組いて、どことなく都会から来た人のようだった。GW の里帰りなのかなと、その人の生活をあることないこと、イケメンジャー後輩と話しながらまた船の上に。距離的にはもう一度外海に出た方が近いのだけど、ダンナ後輩の「外は飽きました、中を行きましょう」の一声で玉之浦を漕いでいくことにする。外が静かなだけに内海も一層静か。里海と呼びたくなる静かな、でも生活感のある海をするすると抜けて北上していく。日もだいぶ低くなって、ああ、後一日しか漕げないんだなぁと寂しさが忍び寄る。

有名な高浜より数キロ手前の人のこない砂利浜に船を上げてキャンプ地とした。西向きのキャンプ地はここが初めて。夕日を見ながらのんびりする。今日はこれで25キロほど漕いだか。明日は最初はいいけど、後半向かい風が予想される。それを頑張って漕ぎ上がれば一周だ。



5/3 砂利浜 - 高崎の浜 - 浜田の浜

いつものように起き出して、今日はシリアル兄弟の朝食チェックが賑やかだ。先にささっと食べ終わった二人がみんなの朝食を覗き込みながら、「おや、オムレツですか?僕の分は?」、「納豆ご飯と卵雑炊ですか?食べ過ぎじゃないのー?」、「朝から棒ラーメンー?元気ですねー」とか隣の朝ごはんを次々に読み上げていく。朝から二人は面白い。

今日はおそらくキャンプ最終日。今夜から雨なのでテントは張らず、東屋などを探して泊まるだろう。出発の朝は晴れているので、下の砂利浜のおかげで砂がつくこともなく乾いて綺麗に撤収できた。このくらいの浜が一番嬉しい。白い綺麗な砂浜は見た目はいいんだけど、何をするにしても砂がついてくるからなあ。

やっぱり八時には出発する。だいぶ軽くなったみんなの舟に比べ、僕の舟はまだまだ重いなあ。綺麗な高浜を遠目に見て、追い風に乗って北上する。今日は南東の風なので、柏崎の岬を回り込んで南を向くまでは風裏追い風。すいすいと飛ばしていく。

海岸線は円を描くように緩やかに向きを変えていく。一つ先の岬、また一つと、中々北の端の柏崎が見えてこない。少しずつ北西から北、北東と向きが変わっていき、朝から二つ目の灯台が見えたらそれが柏崎の灯台だった。近寄っていくと、諸磯の灯台とよく似ている。諸磯は四角いけど、それを円柱に変えたらこんな感じだろう。



親近感を感じながら柏崎を回り込んで 11時。ここから岸べたでのじりじり漕ぎが始まった。灯台を過ぎた柏の漁港で一旦体制を整えてからまた風の中に漕ぎ出していく。そうして高崎の鼻をまわりこんで綺麗な浜に滑り込んだら 12時になっていた。ほんの 2.5km ほどの距離を一時間だ。風の強さがわかるというもの。

白い砂浜の端には黒い溶岩がゴロゴロ転がっていて、それが熱を保っていて暖かい。空はだいぶ雲が出てきて薄暗い中、岩にくっついて体を緩めながら昼食を取る。向かい風との真っ向勝負をあと 5km ほどやる必要がある。あと二時間か。

果たして二時間、向かい風にパドルを刺しながらみんな粘り強く漕いだ。出発地の浜が近づくにつれ、つきたくない気持ちがどんどん強くなる。ゴールしたくないんだよねぇ... もう島の北側にはりついたので風裏で、たらたらと漕いでも舟は進んでしまう。

とうとう最後の浜の真ん前で浮かんでみんなの舟が止まった。一番最後に漕いできたのはシリアル兄弟の弟。「バッテリ切れですか?」と大先輩が声をかけると「あれ?五分休憩で逆回りスタートじゃないんですか?」と軽快に帰ってくる。この後輩は今回が人生初キャンプの初カヤックツアーで、それで福江島を一周してしまった。毎日少しでも先のキャンプ地までみんなで漕いだから、四日の中で漕ぎ切れた。みんなでそろりそろりと舟を進めつつ、その後輩の舟が一番にバウを浜にすりあげるまで待って、みんな一斉に浜に舟をつけた。その瞬間皆から自然に声が漏れる。シリアル兄弟の兄貴分はそれを後ろから動画で撮ってくれていて、最後に浜にあがり、パドルをカヤックにおいた。これで全員が一周を終えた。



あっという間だったー。あとは仕舞い支度をして大先輩の車に乗り込み、福江の街で打ち上げた。宿はなかったから、近くの海水浴場の東屋で屋根があればマットと寝袋で寝ちゃえるでしょう。明日からはずっと雨風強い。帰りのフェリーまではもう漕げない。あっというまの漕ぎだったなあ。


5/4 福江 - 長崎 - 佐賀




綺麗な浜の東屋で目を覚まし、酔いにちょっと寝が足りてない気がする。今日は昼前にフェリーで長崎に戻る。戻っても宿はない。雨の中どうしよう。とりあえず福江で鬼岳と堂崎天主堂を見学し、五島のお土産品を買い回ってたらちょうどフェリーの時間になった。

長崎についたら、宿はないけどとりあえず稲佐山に登ってみる。雨だったので街は見えない。これぞ長崎。野外コンサート場では音楽祭をやっていたようで、演者も客も一緒にステージの上で雨を避けながら愛を歌っていた。

次はチャンポンだろうと中華街に移動するけど、お店はどこも長蛇の列で並べない僕らには苦行。10分ほどであきらめてもうすこし寂れた街に移動しようということで佐賀に。走っていき、高速そばの仮眠施設があるスーパー銭湯に泊まることに決めた。

ようやく風呂に入る機会がやってきた。新門司でフェリーを降りて以来初めての風呂。文明社会に帰る儀式めいた趣がある。みな思い思いの手順でさっぱりし、佐賀のチャンポンで夕食としてから眠りについた。

5/5 吉野ヶ里遺跡 - 肥前浜宿・酒蔵通り - 伊万里

帰りのフェリーは明日の真夜中手前。まるまる二日あるとはいえ風が強いのでカヤックを漕げるわけではない。陸での観光に切り替えて行きたいところはないかと大先輩がいくと、部長先輩が率先していろいろ挙げてくれた。車があるのでフットワークは軽い。それらをがんがん回り、佐賀を堪能してまたスーパー銭湯に戻って寝た。

佐賀の道を走っていると、小麦が多くてどれも黄色に色付いて刈り入れどきだった。そういえば、落穂拾いという有名な画があるけど、あれも麦をひろっているんだろう。あたりまえだけど、今までずっと稲なような気がしてた。そんなわけないのに。

5/6 太宰府 - 新門司フェリー - 5/7 横須賀

この日は朝から雨。それでも太宰府に行ってみようという部長先輩の強い意志に皆喜んでついていく。無事お参りをすませて、太宰府の横にある国立博物館に寄ってみたら、ちょうどよい休憩所があったので、そこでお茶を始めたらカヤック談義に花が咲いて数時間ほどいてしまい、あとは新門司に移動するだけ。ちょうどよい休憩所だった。

それで新門司でフェリーに乗ったら、あとはだらだらと過ごすだけ。風呂に入ったり、みんなでだべったりしながら、ついて出る言葉は「かえりたくなーい」。また来年の GW が楽しみということですね。