小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2024年9月16日月曜日

20240916 ヘルメット

台風が遠くにあって、なんか期待できそうな日。クラブの何人かはナマハゲに会いに行く慰安旅行で出払って、三浦はひっそりとしてるだろう。

一人で支度して入江に浮かぶ。慌ただしく生活してるときこそ、深呼吸して漕ぎだす時間が大事。

薄く雲がかかかってぼんやりした景色の中をお目当てのポイント目指して気ままにパドルを回す。とはいえ、先に入られてたらと気が焦る部分もある。うねりはしっかりあって、堤防を出たらもうモワ~ンとやってきては浅い隠れ根で舟を持ち上げる。これは他にも人がでてるかな。

それは取り越し苦労に終わって近場には誰もいなかったけど、波が小さいわりに潮が低くてパウを刺しそうな雰囲気なので、次のポイントに進む。

岬を目指して漕いでると、手前の浜からカヤックが一人でてきた。遠く会釈しながら漕いでいると、こちらに舟を寄せてくるようで、こちらも近づいていったら知り合いだった。船を合わせて岸沿いに漕ぎながら話しながら進む。なんだかこの人も会うたび舟が違っているな。

一緒に湾をくるりと回ってお目当ての場所に着いたので、ここで遊んでいくと伝えて分かれる。向こうは岸を遠目に巻いて次の岬に向かっていった。

自分はうねりの崩れ方を様子見。正直ヘルメットを持ってくるべきだった。一人でメット無し。沈する波は絶対にパスしようと決めてから遊び始める。

タイミングを掴むまで何本か厚めの波に置いてか行かれたけど、場所とスピードを合わせられるようになったらバンバン乗れる。超楽しい。でも、目印の岩より手前で右に降りるようにしないと今日はやばい。それともう一つ、絶対に左には舟を向けない。ちょっとでもバウが左に振れたらすぐに沈してでも波を降りないとやばい。このポイントの鉄則。

その2つだけを考えながらパドルを回して思うだけ乗った。乗れずに置いていかれたその場所で次の崩れ波をくらうことも何度か有って、それをハイブレースで耐える。パドルを上に出すとテンションも上がるね。

それでもソロなので無理はせず、そこそこにして引き返す。まっすぐ網代崎を目指して漕ぎ戻り、堤防の裏に入って水につかる練習をし始めたら、なんでもやる先輩がシメスタで戻ってきた。挨拶をして、一緒に馬乗りの練習をしてザブザブになる。いくつになっても元気だなあ。

それで一緒に入江に戻って舟を上げる、というところで一波乱。子供たちだけで乗っていたカナディアンカヌーがひっくり返ってアワアワしている。降りた舟にまた乗り込んで、先輩と二人手分けして浮いてる子供と水船になったカヌーを足のつくところまで10メートルほど引っ張った。

それでほんとに舟を上げた。昼ちょっとまでしか漕がなかったけど、先輩と一杯遊べて凄く楽しかった。夏も終わったなあ〜。

2024年8月24日土曜日

20240824 今年の夏

クラブの集まり、サマーパドリングセッション。風が強くてやれるか微妙だったけど、おひさまはたっぷりの予報。セッションの肝は大先輩のランチなので、近くの俺の浜まで行ければ十分と言うことで開催決定。

朝、バス停から小網代までの坂道に出ると、入江からあがってくる風が涼しい。空の色も高く澄んでまたひと夏数える。

早い人がチラホラとクラブハウスにいて、挨拶しながら支度をして先に入江に一人浮かぶ。茶色のタコクラゲが一緒だ。

スカートをつけていると、ヨットに向かう風な人が手漕ぎボートででてきて、カヌーはどういう判断で出るの?と声をかけてくれる。陸の風の予報で6,7メートル吹いたら、まあ、でないですねえと話してわかれる。今日は午後かなり吹く予報なのもあるし、心配もしたのかもしれない。まずはタコクラゲと入江で水につかるだけ。

体の熱を抜いてクラブハウスに戻ると、全員が支度している。船を運んだりなにやかやで入江に全員が浮かんだ。大先輩はたっぷりの荷物や鍋をタンデムの前のコクビットにも積んで、それを一人で漕いでいる。そうして10艘超えるカヤックでちょこちょこと漕いだらもう俺の浜。昼前にもうついて舟を浜に上げ、大きなタープを張ったらあとは日がな一日皆でダラダラと過ごす。暑ければ海に浸かり、波で遊び、ひとの舟をひっくり返し、疲れたらタープの日陰でなにとはなく話したり。


そうしてお昼になると大先輩がダッチオーブン3つでランチを作ってくれた。手広い後輩がノンアルビールを差し入れてくれ、ママさん後輩とガンガン後輩が漬物を持ってきてくれる。すべてが絶好に組み合わさって、これは良いセッション。


午後も同じようにダラダラと日がな一日海といっしょに過ごし、風が上がってきたところでスイカのおやつを食べて、腰を上げる。

房総同期が午後に遅れて艇を出していて、こちらによらずに近場で波遊びをしている。そちらに合流した組と直接入江に戻る組に分かれ、あとは三々五々となってお開きになった。もちろん大先輩は居残り組で、荷の重いタンデム一人漕ぎで波に遊ぶのを見ながら、この遊びをどこまでも広げていける心持ちを味わった。


2024年8月14日水曜日

20240814 落とし物

お盆がくると海はダメだというけれど、やっぱり漕ぎたい性分ででかける。朝一人で支度して一回り。岩場のポイントまで行って何本か綺麗に乗れて上機嫌で戻る。

暑い最中にいっぱい水につかりたい。ツアー組が定刻どおりにでてくるのを入江に戻って大小様々なタコクラゲと一緒に待ってでかける。タコクラゲ、小さい子供のやつはほんとに可愛いけれど、ここでロールすると、もっと小さい幼生が鼻の中に入るのかと、そこで考えを止める。

もう波はない。距離を漕ぎたいシーズンではないけれど、お客さんのペースが良くてスイスイ進んでしまう。こまったなあと諸磯の波のちょっとたつ岩場で休憩中に、メンバーの一人、バイカーの後輩が首に巻いていた手拭いを落としてしまった。やいのやいの下を見て、夏の時期にしては澄んだ岩底に白いタオルを皆で見つける。

それを取るかどうしようか、落とした本人もべつに大事なタオルというわけではなし、それでもちょうどいい時間潰しになるので、浮いたままガヤガヤとする。ままよというわけで、本人が PFD を脱いでカヤックから水に飛び込む。えいやっと頭から潜ろうとするけど、真下に沈むのは難しい。結局、3m ほどの底に届かず、タオルは諦めて残された。

ちょうどよいイベントになって、今日の昼の休憩場所まで進む。順調すぎて昼にはまだ早い。カヤックを岸にあげて皆水に浸かって空を見上げる。浮きながら話に出るのは体の調子や病院のこと。近所の銭湯で地元連中のおじさん達がお湯につかりながらの会話そのもの。夏限定の諸磯の湯は、海洋表層水でお肌と人生に潤いをくれる。



たっぷり体を冷やして、岩の上で風にあたるとこれは涼しい。風呂上がりの扇風機と同じだ。午後ものんびりとして俺の浜でまた水につかり、ちょっとは練習してゆっくり船を上げた。


2024年8月3日土曜日

20240803 さくっと四人で

暑いと外に出ちゃいけない、そんなわけない。陸より海のほうが涼しい。暑い盛りに潮に浸かって涼もうと筋トレ後輩とのんびり出かける話がまとまる。

クラブハウスにつくとNZ先輩とスリムな先輩の二人がやってきた。近場で泳いで上がると言うので四人で一緒に出かける。

お目当てはエビ島なんだけど、途中荒井浜沖でSUPのグループに少し離れて並走になる。どちらもエビ島に向かっているのか、こちらは淡々と漕ぐのをSUPの先頭がダブルブレード座り漕ぎでがむしゃらに漕いでペースを上げている。しばらくして諦めて速いよ~と言う声が聞こえた。手を上げて応えてそのまま先に進む。僕らもレース艇を追っかけてちぎられることがままあるから気持はよくわかる。

エビ島に着くといつも上がる岩場にはうねりが入っているので回り込んでみる。すると数人のモリ突きが泳いで居たのでそのまま素通りすることにした。

エビ島があまり澄んで無いので赤羽根まで見に行こうかとサクサク漕いで洞窟の浜まで。潮がだいぶ下がってうねりが洗っているので気を付けて洞窟をくぐる。浅すぎて泳ぐ感じでは無かったので洞窟を通る涼風を日陰で楽しみつつ昼食そして寝そべりトーク。絶妙に涼しいので眠りそうになるからもう一度エビ島を試すべく水の上に。

ついてみるとだいぶ潮が上がっていたので、タイドプールの中まで舟を入れて泳ぐ。モリ突きの人たちはもういない。水温はだいぶ高くてずっとつかっていられる。

ひとしきり泳いで気が済んだので、一緒に入江に戻って舟を上げた。陸に上がっての後片付けが一番暑い。猛暑警報が出たら海に出て自然に冷やしてもらおう。

2024年7月28日日曜日

20240728 レスキュー練習会

夏ならではのクラブの催し。いろんなレスキューを練習する日。イベントじゃなくても暑いさかりは自然と合間合間に水につかるのだけれど、年に一度は大先輩の指導に耳を傾けながら最初から一つ一つ確かめる事があっていい。

ばらばらと集まってふと見ると、いぶし銀の先輩の舟が違う。キャンプに良さそうなラダー艇になって、中を見るとケプラーだ。洋物を乗り継いでいる。

ともあれみんなで入江に浮かび、馬乗りセルフ、フロートセルフ、T字グループレスキューとおさらいしていく。グループは助けるのと助けられるの、両方練習するのが大事。

意外に苦労するのが舟によじ登るやつで、セルフでもグループでも、脱った以上は登らないといけないのだけど、それがなかなか難しい。一蹴りで勢いをつける足の力、舟を下に沈める腕の力、これをうまく組み合わせるとバウにも登れる。ロールができても脱ることは絶対にある。そういうつもりで練習しとかないと。ロールよりまず馬乗り。

そうして昼前にロールの練習になる。初めての人にはマンツーマンで大先輩がついて、初めてのロールをみてみんなで拍手。そこで大体お昼ごはんになる。

午後は外に出て海の上でおさらいしていく。良い海だけど微かなうねりがあって、やっぱり入江の奥とじゃ違う。沈脱からセルフで戻ったら、水を抜かずにそのまま漕いで見る。抜かないとバランスを崩しやすい中、離れた浜まで漕いでみる。ポンプで水を抜く間もなくその場から早く離れたり、重い舟で漕がなきゃいけなかったり、そんな事を想像しながら色々遊ぶ。

浜で一度水を抜いて小休止。大先輩が温かい熱々の白湯を淹れてくれた。うまい。レーズンの黒酢漬をおやつに休んだら、近場のポイントで波遊びの仕上げ。潮が下がって乗れる波が来る中、沈したり脱ったりで体を冷やして夏のお祭りを楽しんだ。



2024年6月30日日曜日

20240630 ひっさしぶりサーフ

大先輩の車で房総にサーフ。いえーい、ひっさしぶり。メンツはいつものニセコと何でも屋の先輩コンビ、ガンガン後輩、大先輩とここまではいつものメンバーだけど、あらたに自由な後輩コンビの二人が初参戦。良いと思います。

ウキウキゴーゴーで車は走り、いつもの海岸へ。今日は午後から風が強まる予報なので、隣ではなく目の前の浜で船を出すことに。地元の駐車場の人たちと立ち話をしながら雰囲気の良い小さな浜に船を並べ、そして漕ぎ出す。

思ったより波には力が有るけど遅くて、なんだかとても乗りやすい。これは午前中までだったけど、とにかくバンバン乗って遊んだ。先輩コンビはパドルをバンバン回して突っ込んでくる。波打ちで浮いて次の波を振り返ると、そうしてオヤジ二人がニッコニコ顔で乗ってこっちにすっ飛んでくる。

ガンガン後輩は相変わらず、小さな波にもガンガン漕いで、それで乗れずにおいていかれても楽しそう。沈したらしたでしっかりとロールで上がる。


初参戦の後輩コンビはとてもサーフの勘所がいい。乗った時のスターンラダーのタイミング、それを切り替えるタイミング、横から見ていて違和感がない。こちらの思った通りのパドル操作をするのですぐ上手くなるなーと思う。

それでもちょっと大きめの波は最後に横に向けられたところで沈脱し、ふたりともセットに行く間もなく脱。コーヒー、ごちになります!

帰りの車中は何故セットに行けなかったか、口から自然と言葉がこぼれる。それを見てガンガン後輩が、脱ると口数が増えるよねと、自分の姿を思い返しながらしみじみとしていた。その後輩も今日は脱ってない。ある日突然スイッチが入ったよね。

大先輩は、実は今日は結構いい波なんじゃないかと陰で思っていてNanaという気持ち短い舟を持ってきていたそうだ。その当てが外れて、同じ波でもシメスタに置いて行かれたりするのを、力技でスピードを合わせてガンガン乗っていた。

そうして昼のチャイムからなってもそのまま、気のまま波を追っかけて遊ぶ。そのうち風が強まって来て、ブレースを時折入れないと沈しそう。波も崩れ気味ではあるけど風でワチャワチャと落ち着かない感じ。この風と波の中浮いているだけでも練習になる。

そうして夕方までたっぷり、先輩コンビだけになるまで遊んで上がった。帰りに灰干しサバの定食屋に寄ってうち上げて、今日の反省会。やっぱり、ロールして距離漕いでサーフしたらカヤックの技術はどんどん磨かれると思う。なんでも遊べるカヤック楽しい。そんな話を車中で楽しみながら帰った。

2024年6月8日土曜日

20240608 新艇が来た

一度一日丸々漕ぐとずっとそうしたくなる。そう言って筋トレ後輩とペース上げて漕ごうと申し合わせてクラブハウスに。とはいえ僕は正午過ぎには早上がり。

朝ついたら、いつもニコニコの後輩がすでに来ていた。それがいつにもましてニコニコしている。長らく待った新艇が来たのだと聞く。

早く出て漕ごうと思っていたけど、新艇はやっぱり見たい。プチプチを外して開くのを手伝わせて貰い、ニコニコ後輩と一緒に写真に写る。

流石に進水式まではいられないので失礼して筋トレ後輩と先に海に浮かぶ。その分安房崎までかな。なんだか流れがあってがんがん進み、結局安房崎を越えてしまい、横瀬島で折り返す。

帰りもどんどん漕いで、三崎の堤防を回ったらツアー組を探す。はい、気配がない。北かなあ、どこかなあ。諸磯の灯台に向かって漕いで、左寄りを気にしてみていたらエビ島の岩場に人影が見えた。寄って行って合流を果たす。ちょっとのんびりして諸磯から一緒にまとまって出ていく。

オサレな同期が久しぶりに来ていた。相変わらず忙しくしているみたいだ。真面目な後輩も久しぶり。お互いにバタバタとしている話を交換しながら、諸磯から俺の浜まで一緒に漕いだ。

網代湾の入口を渡るあたりで僕は先に上る。一人別れて堤防に入り、その裏でちょっと水に浸かってから奥に進む。

ヨットの手前では釣りのSUPが真ん中でトロトロ漕いでた。ちょっと寄って声をかけ、この航路だからと北側漕いでくれるよう共有する。夏だなあ。

入江まで戻って一息ついたら、後ろからシリアル後輩と自由になった後輩がスーッと入ってきた。後ろにいたの、全然気づいてなかった。ちょっとぬかったな思いながらみんなで舟を片づけ、先に上がった。

2024年6月1日土曜日

20240601 全部やる

年に一度のクラブイベント、江の島往復ツアー。小網代から往きは真っ直ぐ330度で江の島を目指し、帰りは岸沿いに漕ぎ帰る。

ここ何年かは海況が悪くて開催できなかった。今年も台風一号が発生してどうなるかと気をもんでいたら、そいつが梅雨前線を南に引き込んで絶好の予報となってめでたく開催の運び。

クラブのツアーでは僕はこれが一番好き。10時間くらい海にいると何かしら起こる。そういうのをチームで何とかする。また、何にも起きずに帰れたらそれだけこなせる力がついたということなんだろう。どう転んでも面白い。

今回のメンバーは大先輩、手広くやってる後輩、筋トレ後輩、熱心な後輩に僕の総勢五人。少数精鋭。海況も良さそうなので皆シングルで行きましょうと言うことになる。

それならと甘えて薄い舟をラックから出そうとすると、大先輩から「え、それでいくの」と声が漏れる。はい、まだ稲村ヶ崎までしかこの舟で行ってないのでチャレンジさせてください。

手広い後輩と筋トレ後輩はこのツアーは初めてだけど、ふたりともパワフルだから問題ないっしょ。そんな二人の艇は赤青のゴリラ。熱心な後輩は何回かやってるけど、海燕では初めてだね。

さっそくクラブで支度をして海の上。漕ぎ始めた凪の海に大先輩はとても眠そう。大先輩の刻むパドルのペースに皆合わせてしっかりと集まって漕いでいく。先に走る人がいないのはちょっと珍しいけど、寂しさもある。

50分漕いで10分休憩のペースで進む。手広い後輩が定期的に〇〇キロ漕ぎましたーと報告してくれる。途中、熱心な後輩が気が向いて沈脱したけど、久しぶりだったので馬乗りに失敗し、軽く舟を押さえて手伝うのは御愛嬌。

そんなで四回休憩したら江の島の南側に取り付けた。いつもの橋のたもとに上がるか大先輩が決めかねている様子。海も静かだし南の岩場に上げようと決めて、盗人狩のような隙間に入っていく。周りにはカメラを構えた人が大勢いて崖を伺っている。後で調べたらハヤブサか営巣しているらしかった。見守る会というのも有って、巣立ちの時期で盛り上がっていたようだ。


皆が上を見上げてる中、下で用事と食事をもそもそと済まし、半時間でまた海の上。そのまま島を右に一周して橋をくぐり、これからは帰り道。橋の下のいつもの浜は潮が満ちて水の下だった。大先輩が決めかねていたのはこれか。気が付かなかった。


腰越から稲村ヶ崎までの浜辺はサーファーが点々と入り、でも潮がだいぶ上がっているので乗れる感じじゃなさそう、日差しの下揺られて浮いている。人のいない所を見て僕らも乗ろうとして見るけど難しい。それでもココイチデカい波というのは来るもので、それが熱心な後輩を掴まえて沈、そこを脱らないでちゃんと上がる。実は後輩は数カ月ぶりのブランクがあるのだけど、身についたものは裏切らない。

稲村ヶ崎からは大崎、真名瀬とつなぐ。真名瀬の水路ではカヤック2艇とすれ違った。どちらも5分割艇で、自然と「あー、5分割だー」と声が漏れて少し言葉を交わした。そうして遊びながら長者の砂州に上がる。

もう後10キロちょい。長者の浜はいつも風が抜けて強く感じるけど、みんなまだまだ元気、大丈夫でしょう。でも風に吹かれて体が冷えたので、みんな一枚上に着て、甘いもの二回りほど食べて見知った方向に漕ぎ出す。江の島はもう後ろにだいぶ霞んだ。

佐島のキラキラと荒崎で二度ほど手を止め小休止。海は凪いだ。ゴリラの二人は力任せなところも少しあるけど、それでもまだまだ漕いでいけそうなのが恐ろしい。疲労困憊と叫んでいるけれど、なかなかどうして。ブランクのある後輩はケロリとしていて、ゴールしても「えー、今日もう終わり?」と大先輩に聞くのだろう。

荒崎から真っ直ぐ網代崎を目指し、黒崎を過ぎたあたりでお日様にどんどん色がついてくる。あぁ、久しぶりに江の島行けたなあとつぶやきつつ堤防をまわると、湾内はもう水を撫でるだけで進む。そうしてだいぶ明るいうちにゴールできた。


疲れてはいるけど、今回はだいぶ余裕を持って皆漕げたなあと思いながら、揚々船を片付けているととっても寒い。風もないのに、日が落ちるだけでまだまだ気温が下がるのかなと思っていたら、みんな寒い寒い言っている。あと10キロ漕げるなんて言ってたけど、体は熱を作れないくらい結構へこたれてるのかもしれない。蓄熱体質の大先輩でさえ寒くて乾いた服にちゃんと着替えてた。

そうしてみな着替えて打ち上げる。残念ながら手広くやってる後輩は地元民なので、着替えが家だからと帰ってしまったけど、残りの4人で一息ついた。

熱心な後輩は久しぶりのカヤックで距離漕ぎ、沈脱、サーフ沈でロールと全部やった。今日の殊勲賞だと思う。これでホタルが飛んでまた夏が来る。水の上下自由自在のカヤックを楽しもう。

2024年5月25日土曜日

20240525 また次の

GWに遠くでキャンプ泊しながら漕いでくると、帰ってきても全然スイッチが切り替わらない。次は何か違うやり方でやってみようと頭の中が試行錯誤する。仕事にならない、

中でも今回は雨の日のタープの便利さを改めて知らされて、自分でも取り入れたいと思った。そうやって荷物を減らして、薄い舟でも一泊の三浦キャンプならやれると思った。

それなら練習しましょうと、家からカートを牽いて舟を出す。丁度三浦の道草マラソンに知り合いが出ていて、海から応援できたらそれもいい。

パドルを縛るのに思ったより手間取って、そしてまた込栓を折ってしまった。もう予備がない。やっと浮かぶともうマラソンは出走してる頃合いで、海の上のカヤックが見えたかどうか。

とりあえず久里浜を回れるかと北に漕ぐけれど、10時頃までは北東の風が強い。予報どおり。とりあえず堤防の先まで出て真正面に風を受けてみる。東京湾ぽい風浪が立って、まあ行けなくはないけど行っちゃだめなやつ。そうなるだろうなとは思っていたので、とりあえず引き返して手近な浜に上がり、タープをの張り方を試しながら風が落ちるのを待つ。


まあ、こんなもんかと気が済んだ。風が落ちてきたのを確認してまた久里浜の堤防を回る。これなら大丈夫と言うことで先に進める。午後は今度は南風が上がるので、早めに下浦のテトラには戻る気持ちで漕ぎ出す。

オオツカネでその先を考える。まあ、風待ちで時間使ったし、浦賀で折り返しますか。寄居で昼めしにしたかったけど、やっぱり南風が気になるし。

浦賀では東と西の叶神社を水面から眺め上げてお参りをし、燈明崎で飲み物を買いに一度船を上げる。道からの入口の広場には路草マラソン100キロコースの補給所が有った。知り合いは63キロコースのだから浦賀までは来てないけど、こういうのを転々と回っているのだなあと思った。

また浮かんでオオツカネまで戻る。風はまだ落ち着いていたので、もうちょっと出てみるかと海獺島までいくと結構潮が流れてる。その先の笠島の浮標までタッチして折り返し、久里浜の堤防まで戻った。思ったよりも流れてて海面ザワザワしてた。いい感じ。

これで下浦のテトラの内側に入ってしまえば安心感がある。手近な浜に一度上がってのんびりと昼飯として、それで残りはテトラ脇をのんびりと漕いで舟をあげた。あー、早く次のキャンプがしたい。

2024年5月19日日曜日

20240519 笠懸神事

ツアーではのんびり漕いだので、少し体に鞭を入れたい。来月になったら江の島往復のツアーもあるしなおさらだ。筋トレ後輩も同じ思いのようで、申し合わせて朝から一緒に舟を出す。

今日は荒井浜で笠懸神事を丁度やるらしい。それなら午前中ペース上げ目で漕いで荒井浜までやってきて、一息付きながらそれを見て大先輩のツアー組に合流しようという目論見。

よっしゃよっしゃと漕いで諸磯を過ぎる。何となく潮の流れが気になる。追いなのか向かいなのか。追いなような気がする。あっという間に安房崎まで着て先を見る。海況は良いのでとりあえず横瀬島までは行きましょう。

それにしても波の感じがぜんぜん違う。長津呂崎でうねりがガシャガシャしているのを漕ぎ慣れているとだいぶ強い。

横瀬島はタッチですぐに折り返し、また安房崎、長津呂崎、三崎の堤防ときて辺りを見回す。笠懸には間に合いそうだ。よしよし。でも大先輩たちの気配がない。キョロキョロしながら諸磯を抜け、荒井浜まで来てしまった。

浜は人が一杯で、いかにもな声のアナウンスがしきりに笠懸神事の説明をしている。浜の前にはSUPも三人ほど浮かび、事が始まるのを待っている。

僕らも遠目に浮かびながらアナウンスに耳を澄ます。時間どおりに神事を始めますと聞こえた。そこから神主さんが祝詞を上げ、町の住民やら市長やら果ては県の議員やらが玉串を捧げて挨拶をし、とまあ小一時間経っても馬が出てこない。

しびれを切らしたので一旦浜諸磯まで戻って船を上げ、もそもそと昼ごはんを食べて大先輩たちを北に探しに行くことにした。その途中荒井浜を過ぎようとした所で丁度馬が走ってくれていた。四人ほどが左に右に笠懸をやったのが見れたので満足。そのまま岸を睨みながら荒崎を目指し、黒崎を過ぎたところで大先輩に合流できた。

それで舟を返して俺の浜にコーヒー休憩に上がってそぞろに話をする。今日のゲストさんに一人サーフィンやらOC-1やらをやっていた人がいて、どおりで後ろからの漕ぎ姿がしっかりしてると思った。岩場のポイントで、大先輩が波に乗るのを見て自分も一本乗ったそうだ。すげえ、日本もまだまだ裾野は広く、頂も高い。

その人はそのうち隠岐の島にカヤックのツアーに行くそうだ。いいねえ。そういう話をしながら入江に戻って軽く回って舟を上げた。

2024年5月5日日曜日

20240504 -0505 GW 旅に暮らせたか

いよいよ漕ぎは最後。目標の浜まで二十キロ弱。そこで今回の瀬戸内の漕ぎは終わる、距離は短いけど、ついた浜から大先輩は車を取りに岡山で出発した浜までバス、新幹線、電車、タクシーと乗り繋いで戻らなきゃならない。手漕ぎの舟でもこれだけの日数積み上げればそれなりの距離になった。

ゴールの浜から乗るバスは一時間に一本なので、漕ぎは短いとはいえ時間に気を遣う。まだ日の低くてひんやりした海に漕ぎ出してしんみりしながら漕いでいく。

とびしま海道は本州に近づく島ごとに護岸が増え、浜が減っていく気がした。そうして漕いでいるとなんだか催してきた。出発のときにかすかにあったもやもやを気にせず出てしまったなと思いながら、キョロキョロあがれる場所はないか探しながら漕ぐけど、車道が壁になって上がれる場所が見当たらない。開発された海岸線が恨めしい。

ツアーのペースだと汗もかかず、ただ下に出てきてしまうのか、どんどん強まってくる。仕方ないので、大先輩に休憩予定の浜まで先に漕ぎますと伝え、レジェント先輩の「えー、あとちょっとだよー我慢できないの〜?」という激励の声を尻目にペースを上げる。

下っ腹に力むとチョロりとしそうになる。まずら腕漕ぎ気味に回して体が温まってきたら少し波が治まる。その隙に普段のように漕いでいくと背中に汗が滲み出す。それで良い循環を回し、時々また戻って来る波に堪えながら見えていた浜に一人で滑り込んだ。降りた時には出口が少しパクパクしていて限界だ。時間が惜しいので目の前にいる人にトイレの場所を聞いてギリギリセーフ。さっぱりして舟に戻り、こちらに向かってくるみんなを迎えた。その時間の差は数分にしかならなかった気もするけど、のんびりペースで漕いでいたらその遥か前に駄目だったと思う。

気を取り直してすぐにまた皆で水の上。しばらく岸沿いに巻いたらすぐに先が開けた。ここからゴールの浜までは8キロほどの渡り。右後ろからの潮流に乗って1時間半ほどか。

海況は申し分なく、晴れた日差しの微風の中を淡々と漕いでいく。これで浜についたらもう漕ぎはおしまいか〜、嫌だな〜、と思いながら漕ぐと自然にペースが鈍る。そうすると、さっき空にしたはずの体内にさざ波が立ち始め、水かさを増して行く。

いやだ〜、最後はみんなでゴールしたい。もう先には行けない。なんとか間に合えと祈りながら気もそぞろに水をなでていたらゴールの浜辺前まで来ていた。しかしここですぐに上がれるわけではない。車のつけやすい場所にあげたいし、ゴールの瞬間を動画に収めたい。色々な渦が滞留しながら秒が過ぎ、分が過ぎで限界を超えてしまった。

半分もだしてないけれど、なんだか締まりの無いゴールで情けなし。力なくガッツポーズをして皆の列に並ぶ。これで一端のカヤッカーになれたのか。でもみんなには内緒。

ササッと着替えて大先輩はバス停に向った。予定では戻ってくるのに六時間かかる。その間は残りの5人で過ごす。とりあえずさっぱりしたいので、ロールをして水を入れよう。ツアーはいつもナイロンのスカートなので何度か回れば腹からコックピットに水が入る。

筋トレ後輩も浜の暑い日差しを嫌がったか一緒に回るというのでまた二人で浜の前に浮かび、少し沖に出て回る。瀬戸内海の水はまだ冷たくて、二度ほど回ったらザバーっと水が入ってきて途端に体が冷えた。これで十分。

あとは陸の服に着替えて脱いだものを水洗いし、他の荷物も並べて濡れ物を乾かす。時間はたっぷりある。浜から道路を挟んでキャンプ場があり、大きなテントがいくつも建っている。その風景と比べて僕らの荷物には何故か強い生活感が漂う。その少しの差を大事にしたい。


浜でやることも無くなったので、呉の町に出よう。浜に残るという二人を良いことに荷物を託し、筋トレ後輩とシリアル弟合わせて三人で呉の町に出た。銭湯に入り、そして昼飯を食べる算段。ついでに呉の駅でお土産も買って、またバスで浜に戻った。

後は大先輩が戻ってくるまでに自分たちの荷物を持ち帰り用にまとめ、カヤックを空荷にしておいたり、なんだかんだで動いていたら丁度六時間で大先輩が車で戻ってきた。手早く荷物、カヤックを積みながら、これからの行程を相談する。

一日早くゴールについたので時間は余裕がある。今は夕方五時。これから出て夜通し走れば渋滞になる前に戻れそうだというので、もうこのまま帰ることにする。ドライバーに気持ちよく走ってもらうのが最優先。

帰路につく前に浜からほど近いお好み焼き屋に入って打ち上げ。漕いでる間に懲りたのでお酒は控えてノンアルで乾杯したけどこれがとんでもなく美味かった。おでんと合わせて美味しく飲んで食べたら、後はもう一目散に横浜に帰る。ツアーの帰りはいつも速い。今回はさらに速くて、余韻が始まる前に帰ってきてしまった。


ツアーを終えたと言うより、一つの学校を卒業したという方が近い感覚でその後を過ごしている。ゴールを目指したと言うより、日々浜から漕ぎ出て浜に上がり、食べて寝る生活を一日一日と暮らしていたら、気がついたら今ここでおしまいとなった。できたらこれを何ヶ月、何年と続けたい気にもなった。これが、行ったきりで帰ることのない旅に暮らすということなのかなと思った。また、そうして過ごすには瀬戸内はやりやすいところだなあ。まずは三浦の海で暮らしてみたい。


2024年5月3日金曜日

20240503 - 0504 GW メシ、フロ、ネル

今朝のご飯は何にしよう。テント周りから離れて来島海峡が見える海際まで行き、ゆっくりご飯支度。晴れてても結構寒暖差があって夜露に濡れるね。軽めのシェルター持ってきてるけど、まあそれなりに中が濡れる。昼にすぐ乾くから良いんだけどね。

大先輩はここまでの所、例によってテントを張らずに寝ている。雨の日はタープを張っていたとはいえ、蚊が寄ってくるからなあ。そういえば瀬戸内海の蚊は色が薄茶色で大きいようだ。夕方になると出てきて、雨でも出てきて、テント張らずに寝てみたかったけどやっぱり無理だ。

明るくなる中支度を終えて今日の行程を打ち合わせる。大先輩が「プランBがあるんだけど」と言って、とびしま海道の北側に出て西に進み、適当な瀬戸をくぐってまた南側に戻ってはどうかと提案した。海図には4とか5とかの下げ潮の数字が見える。面白そうだなとは思うけど、皆昨日の船折瀬戸のイメージが有ってビビってた。ここは安全なプランAでということで、とびしま海道の南側を真っ直ぐ島に沿って進むことにした。

階段は潮が上がっていて、海藻のある段はすっかり沈んでる。安心して舟を段を降ろして浮かべ、来島海峡を振り返りながら漕ぎ始める。どこの島も離れがたい。

大筋下げ潮に乗って順潮のはずなのだけど、島の脇では順だったり逆だったりコロコロ変わって素直じゃない。瀬戸から出てくる流れや、真横から当たって前後に分かれる流れだったりするのだろうか、一定しない。日差しで明るい浅い水底を見ながら漕ぐの好きだけど、淡々と距離を漕ぐなら島から離れて大きな流れに任せたほうが楽なのだろう。でもそんなのは気にせずそのまま岸ベタで漕いていく。

とびしま海道でもまだドンづきに近いこの辺りはきれいな砂浜があちこちにあって良いところ。島と島の間も近いし、確かに瀬戸を出たり入ったりして漕ぎまわってみたい。恐れてた瀬戸は幅広でこれならリスクは少なかったなと横目で見ながら漕いでいたら昼前に今日の目指す浜についた。

この浜より少し戻った所に大きな宿泊施設があって、昼食を取れる食堂や日帰りで入れる風呂もある。順調に漕いで時間はたっぷり有るので、まずは昼ごはん。濡れた道具などを浜に広げて乾かしたら歩いて皆で食堂に出かける。お刺身定食が美味しそうで飛びつく。瓶ビールも開けさせてもらう。久しぶりのなま物が美味しい。でもちょっと足りない。筋トレ後輩と調子に乗って海自カレーを追加で頼んだら、まんまと上にメンチカツが乗ってきた。さすがに腹いっぱいで、上を見ながらカヤックまで戻ってしばらく暇をかこつ。


風呂が開く時間になったので、また皆で連れ立ってぶらぶら歩き、施設の離まで行って久しぶりの風呂にありつく。とはいえ何日入ってなかったのかは指を折るのに苦労する。昨日、一昨日と数えるとよくわからなくて、最初から一つ二つといくつも指を折ってやっと答えが出た。


さっぱりして舟に戻り、皆でそぞろに集まって日が落ちる中だべる。いよいよゴールが近い。と言うか明日漕げばゴールの呉だ。正確には呉に入る音戸の瀬戸の手前に上がる。この生活ももう終わりかあ。

2024年5月1日水曜日

20240501 - 0502 GW しまなみ海道、船折瀬戸

05/01

夜半から降り出した雨はそのまま夜が明けても続いている。うまくいけば、舟を上げる昼過ぎには止んでくれそうな予報。

5時前からゴソゴソ動き出して雨降りの中を撤収するのもだいぶ慣れた。このあたりから、前半部分の記憶が少し曖昧になる。どこの島で泊まったとか、何日前に瀬戸大橋くぐったとか、良く考えて指を折らないと出てこない。

旅の興奮が抜けて、日々の暮らしとして受け止め始めたのだと思う。もう一つの印が、ゴール地点を意識しなくなったこと。割とゴールまで何キロとか、途中のチェックポイントまでのペースとかを頭に留めながら漕ぐ方だと思うのだけど、このあたりからそういうのが気にならなくなった。普通に目が覚めてご飯を食べ、船を漕いでまたご飯を食べて寝る。それを大事に大事に繰り返すことに頭が使われていた気がする。

ともあれ、静かな水面に雨がぱらつく中、しまなみ海道に向かって漕ぎ出す。今日は伯方島あたりまで行ければ良い。島の風裏から抜けたのか、しばらくすると追い風、追い波を感じる。それでも風浪の中にうねりは感じないのが瀬戸内らしいか。

途中、百貫島にあがって小休止。なんの気無しに風表の浜に突っ込んで上がってしまったが、大先輩はちゃんと風裏に回り込んでゆったりと舟をあげていた。ほんの 10m の些細なことだけど、こういうところだよね。風に吹かれて浜に立っていると寒いので、みんな用事を済ませてそこそこにまた浮かぶ。

弓削島に取りついたらそこを回り込み、下げ潮と風の調子に乗ってぐんぐんと漕いで行く。弓削島の山肌はなんだか丸くぽっかりと抉り取られて、自然にできたと思えない。そんなことを考えながら通り過ぎてそこいらの浜で今日はおしまい。

昼には止む予報が段々とずれ込んで、日が暮れるまで結局雨は降ったけど、タープの下でみんなでそぞろに過ごし、それぞれのテントを張る頃には止んでくれた。二泊三日と雨が続いたけど順調に漕いで来れたし、明日からは風もない好天ということで気分も上がる。明日はしまなみ海道をくぐるので、大先輩の行程を聞くのに身が入る。船折瀬戸か荒神瀬戸か、潮止まりの時間に合わせて近くまで行っておいてその時考えよう。


05/02

今日は少し行動が早い。七時半には伯方島の南側にいて潮の様子を確認したいということで、そこまで行く時間も考えて出発は六時半とした。すると当然シリアル兄弟の二人はもっと行動が早いわけで、準備を終えて腕組みをしながら浜に立ち、筋トレ後輩の積み込みを見ている。急かしてるつもりが無いのはわかってるんだけど、年の功がにじみでてくるんだよねぇ。でもそれも毎日の流れに組み込まれていて、自然と時間前の出発となる。

伯方島の南に回って、前に漕いだ沖浦ビーチ前を過ぎる。これで本州側から伯方島までのしまなみ海道が自分の中で繋がった。四国に上陸したことがまだないので、あとちょっとだなあ。そうして西に進んでどちらの瀬戸を通るか思案する。

今日は小潮で、時間は満潮を二時間ほどすぎた頃合い。一番静かな条件なわけで、船折瀬戸の方を見やるとまあ落ち着いている。こちらなら航路を跨ぐ必要もないし、一気に漕ぎ抜けてしまいましょうと、伯方島に沿って狭い水路に入っていく。こんなに落ち着いている時であっても、白い灯台から先はそれなりに流れて潮波が立っている。楽しい。船もまだこないうちに瀬戸を潜り抜けられてホッとした。小潮でこれなら大潮の時とか、流れにまかせて下るだけでもどうなっちゃうんだろう。ひっくり返されてドンブラと流されていくのが目に見える。

パドルをとられてやばかったなどと話しつつ、大きな橋を潜った先の浜に上がって小休止。日も高く差すようになって白い砂と青い空が久しぶり。下げ潮に乗ってずんずん漕いで、気持ちのいい浜についた。

とりあえず浜に舟を上げて相談する。白い浜で気持ちが良いのだけど、潮が上がっても平気だろうか。波打ち際の線を見るとギリギリアウトのようにも思える。浜から20メートルほど離れて階段に整備された岸があって、その段の上の道を少し歩くと空き地のキャンプ場がある。どちらにするか。

階段は海藻で滑りやすい感じ。空荷の舟なら気にしないけど、荷を積んだ重い舟を上げるのは嫌な気しかしない。わがままをいって、浜で全部荷物を下ろして上のキャンプ地まで足で運び、軽くなった舟を階段で上げることにした。三浦の漕ぎとは違って気を遣う。怪我も舟の故障もそこで終了になってしまう。

陽の当たって風も適度に抜ける気持ちの良いキャンプ地に腰を据えて午後が始まる。ここ3日濡れていたテントも綺麗に乾く。雨だとタープの下に皆集まってこじんまりとするけど、晴れているとばらばらに広がっている。あちこちに寝袋やテント、漕いでた服も広げられ、あるだけの広さを有効活用させてもらう。そうして、鞆の浦で買っておいたジャンプを読むのにちょうどいい時間だった。








2024年4月30日火曜日

20240429 - 0430 GW 瀬戸内の分水嶺を越える

04/29

すこし肌寒い感じで出発。漕いでる間にも雨に降られるかもしれないのでドライを着ておく。汗をかくほど体が温まらないので服装で保温。

海図を見ると、潮が低いと現れる砂州が有るみたいなのだけど、それと思しき方向には何も見えな
ない。凪のツルツルの面にキールが切り込んでいく。

中くらいの島の間を南西に下ったら少し海が開けた。軽い渡りで対面の島に取り付いたら、これが今日の予定の島。夜から東風と雨が強くなるというので、西に向いた浜に上がる予定で、いくつか点々と見て歩く。そのうちの一つの良さそうなやつに決めたら、まだ正午前。

今日はもう漕がないぞとプシュッとやったら雨が振り始めて風も吹き出した。風よけにタープも張ってみんなで並んで座ったら天国だ。大先輩を皮切りにミートソーススパゲティが振る舞われる。筋トレ後輩は、次のスパゲティの具にしてくれとミートボールを供出する。後輩は今回バーナーを持って来なかったそうだ。ソーセージやミートボールは加熱済みなのでそのまま食えると言う。それはそうかもしれないけれど。道理で今までシリアルをポリポリしてた。それに、途中買い出しできるか分からないとのことだったので、それも相まって控えめに食べてた由。それが明日はコンビニで買い出しの時間を作ろうと決まったので、大盤振る舞いで食べに走っている。

昼からダラダラ飲みながら、明日の海図を見ながら相談しながら雨の下過ごす。ここまでは順調だ。雨も漕いでる時間は酷くなく、視界は良好。停滞の必要はなく全日漕げそうだ。潮の流れに合わせて午後は浜でのんびり過ごすパターンも上手くハマり、明るいうちにちゃんと料理して食事することができている。おかげで毎日快腸だ。

04/30

朝起きてまだ雨は降っているけど、昼に向かって次第におさまる予報だ。まあどっちでもやる事は変わらない。風さえなければ漕ぐには困らない。

少し視程が無いので島沿いに北西に上がってから仙酔島までの渡りをする。航路を横切るので気をつけたい。海面はまたツルツルで、まばらな雨の波紋もきれいに見える。

そのうち雨もやみ、視界も開けて、航路の灯標がはっきり見えた。それを目印に漕いでいき、その正面の仙酔島につくころには晴れ間が覗いてだいぶ暑い陽気になった。

仙酔島で一旦舟を上げ、そこから渡し舟で鞆の浦に人だけ渡り、補給の買い物などをする。ついたのは昼前。せっかくだから少しの観光と食事などもしようじゃないかということで、4人は昼飯、2人は日帰り風呂に行ってからコンビニで買い出しということに分かれた。僕は断然風呂組。気持ち悪いわけでは無いけれど、風呂に入って今自分が漕いできた海を見てみたい。ホテルの6階にある日帰り湯はとても良かった。シリアル後輩とさっぱりしてコンビニに行ったら、ちょうど飯組も終えて買出し中だった。奇しくも合流できた。

買出しも終えて、予定どおりの渡しで仙酔島に戻れる見込みなので、大先輩がちょっと知り合いの店に挨拶していきたいというので、皆で鞆の浦の町中をキョロキョロ見回しながら抜けていく。

お店は残念ながら休みだったけど、狭い路地のあちこちを見れたのが本当に良かった。

それで浜に上げたカヤックまで戻り、買い出したものを積み増して再出発。筋トレ後輩は買い物したコンビニ袋の取っ手が指に食い込んで痛くて仕方がなかったそうだ。どんだけ買ってんねん。

鞆の浦からは島沿いに少し進み、テトラがたくさん積んである小砂利の浜に上げてキャンプ地とした。また夜から雨がふるというのでタープを張り、しっかり準備して今日はおしまい。

鞆の浦は瀬戸内海の分水嶺ということで、ここを境に東西で上げ潮下げ潮の方向が変わるらしい。今日までは午前中の上げ潮に乗って進んできたが、その数日の間に潮回りも進み、明日からは午前中の下げ潮に乗ってずんずん進んでいける。

明日はいよいよしまなみ海道に取り付く。伯方島は久しぶり。以前に漕いだその島を今度は西に横切っていく。楽しみに寝た。

2024年4月28日日曜日

20240427 - 0428 GW 小豆島あたりから瀬戸大橋をくぐる

今年のGWはどこだろうと、年のはじめからそわそわする。去年は五島列島の福江島だった。大先輩が頭を捻って出してくれたのが瀬戸内の横断。予定では小豆島近くの本州側から出て呉あたりまで漕ぐ。よし来た。

今まではしまなみ海道を縦に、あとは周防灘をくるりと回ったことがあるけど、どちらも二、三泊ほど。今回は長くて八泊することになる。初めての経験。漕げない日もあるかもしれない。補給もできない場合を考えないといけない。大先輩の挑戦を受け止めましょう。

どんな食事にしようかなと色々考えながら家の自炊で試してみる。すると家事も趣味になって、次の食事の準備が待ち遠しい。出るものが毎日しっかりと出る食事にしようと目標を立てる。あとはできれば水の補給も無しを目指す。

そうして荷物をまとめていよいよ出発の日。金曜の夜に横浜駅で集合。とはいえ駅で待っていたのは僕だけ。他の人達は大先輩が小網代からの道中にピックアップしてきたのですでに車中の人。今回参加するのは大先輩、レジェンド先輩、その先輩の弟分のようなシリアル後輩、筋トレ後輩、僕、それにもう一人瀬戸駅で合流する危険センサーが壊れてる後輩の計6人。さあ行くぞ瀬戸内!


4/27 結局漕ぐ

夜通し走って神戸も過ぎた。もうこの先高速は混まないでしょうし、お腹も空いたのでサービスエリアに寄ってゆっくり朝食にする。大先輩は蕎麦二玉。レジェンド先輩はカツ丼。皆朝から健啖々々。まだ居ないアブナイ後輩はもっと食うと話しながら瀬戸駅でその後輩をピックアップしてメンツは揃った。さあ行くぞ買い出し!

買い出しって焦るのよね。慣れた人たちはすぐに買い物を済ませて車に戻っちゃうから、勝手の分からない地元スーパーであちこち欲しいものを探してウロウロ、そもそも何が欲しいか定まっていなくてウロウロ、そうしている間に気ばかり急く。

基本は朝飯に餅と卵を焼いてあと味噌汁、果物。昼はゼリー系の行動食、夜はパックご飯と野菜で炒め飯。そんな感じ。忘れちゃいけないお酒、ガスのボンベ缶。そう書くと簡単だけど、オツマミ欲しいなあとか、量足りるかなとか、自信がないからウロウロ。

一週間を超える分の買い物をイケアのバッグ一つに収めてようやっと車に戻ると、先輩達はすでに車中でのんびりしている。後輩が戻ってくる時には、僕もいっちょ前に先輩づらして椅子に寄りかかって置いた。

買い出しも終えて昼前。とりあえず出発予定の浜に車をつけて海を見ながら相談する。今はもう潮が逆潮になっている時間で、これから出るとしたら伸びない船足で15km ほど漕ぐ必要がある。夜通し走った体で今から出るか、ここでゆっくり一泊して明日に備えるか。

そうして皆で浜に立ったら出るに決まってる。いそいそと舟に荷物を積み込んで着替えを終え、大先輩が広げた海図の前に頭を寄せた。今日の行程を今一度確認してさっと船を浮かばせる。準備中の心配や車での疲れが泡になって頭から抜けていく。腹の下からフツフツと力が湧いてくる。良いよね、遠くにカヤック漕ぎに来るの。

小豆島、豊島を左に見ながら、本州を右に見ながら西へ西へと漕いで行く。波はない。油凪な海面をヌルヌルと漕ぐが、しばらくして景色が変わっていないのに気づく。下げ潮が一番強い時間のようだ。波はないけど水全体が後ろに下がっているのだろう。波も風もない中パドルだけ回しているのは皆堪えたようだ。

それでもあの目印まで、次の目印まで、と休まず漕ぎ続けて4時間半、目当ての浜に舟を上げた。西の方なのでまだまだ明るいうちに着けたけど、逆潮(ぎゃくちょう)の中漕ぐ疲労感を思う様味わった。この経験がこれから先のペースを決めることになった。

荷物を出してテントや食事の支度をし終えた人から浜に腰を据え、海を見つめる。いつも大先輩が一番乗り。テントを立てないからだ。一人一人と増えて横に並ぶ。海はずっと静かで波が一切ない。だから時折入る引き波が綺麗に皺を作って浜に寄せる。波の音がしない、静かな海というイメージが一層強くなる。

暗くなるまでゆっくり食事やらお酒やらをしながら、旅の始まった興奮にまかせてざわざわ喋る。今日の経験で、皆の意見が「逆潮には逆らわず、順潮の時間に稼げるだけ漕いで、あとは浜でゆっくりして次の日に備える」と纏まる。これから小潮になる中で、全体を通して午前中に漕いで正午過ぎたら浜に上がるという方針で毎日25kmを目安に漕ぐ感じだ。

大先輩が、「今日の15kmは絶対最後に効いてきますよ」としきりに言っていた。15kmなんて小網代からちょいと安房崎行ってくるくらい。それでもそれの積み重ねで僕らは進んでいく。

明日は順潮に合わせて七時には舟を出すと決めて、皆テントに潜り込んで寝た。


4/28 瀬戸大橋

レジェンド先輩とシリアル後輩はシリアル兄弟。去年の福江島でも、朝早く起きてテントの中でフルーツグラノーラの食事を済ませ、日の出る頃には漕ぎ出す準備が二人とも済んでいる。

これはあくまでせっかちなのではない。歳を取ると色々な事が素早く出来なくなるから、それで他の人に迷惑をかけないようにと、早め早めに動く癖がついてしまうのだ。だから、PFDをつけてカヤックの横に立ってこちらを見ていても、「まだぁ~?」と言うような心持ちは一切なく、ゆっくりとテントを畳んでくれて良いのですとの二人の言。

それはわかるけど、見られると気は焦るのでこちらもつられて早めの行動になる。そうして予定の時間より早く浮かんだ。

直島の北側から開けた海域を見晴らすと、南西に大槌島がうっすら見える。その周りにはあまり島がない。本当にちょうどいい目印だ。どこにいても富士山を間違えないように、ここいらを漕いでいてこの島は間違えないだろう。順潮に乗ってうわ~っと漕いで行ったら、島の近くで割れた流れが北に北に舟を寄せて危うく島を外すとこだった。その流れが島の北側に作る潮波に乗ろうと大先輩がわざとそちらに船を振るけど僕は騙されないぞ。潮波の上流に舳先を向けて浜にグライド気味にまっすぐ入っていった。他の人は大先輩について行って、潮波を被りながらザブリザブリと流れを漕ぎ上がって来て浜に上がった。

大槌島は北半分岡山県、南半分香川県。多分岡山側にしか居なかったと思う。小休止ですぐにまた浮かんで北側の波に乗って先に進む。

次の目印は瀬戸大橋か。靄がかっていて湿気があるのだろう。うぅ~っすらと見えるか見えないかの柱を心の目で見つけたような気がするけど、右にも左にもみえるような気がしてその真ん中を進む。そのうちに目印の柱がはっきりしてきて、グングン流れに乗って進んでいく。

柱のそばは流れが巻いてざわつく区間だったけど、つるりと抜けてその先の瀞場の海域で落ち着く。大橋には電車が通り、その音を真下で聞く。スピードを出してそうなバイクの音があっという間に左から右に過ぎていくかと思えば、救急車のサイレンも動いていく。人がいると色んな音がするなあと思いながら大橋を離れてまた静かな島に寄っていく。

近くの浜に舟を上げて一休み。今日の予定は消化済みで、ここからボーナス区間になるけれど、この先どうするか軽食を摂りながら相談しましょうということで軽く荷解き。島に寄って行く間少しペースが落ちた事もあり、昨日の漕ぎが思い起こされて皆逡巡しているようだ。夜露で濡れたテント道具等もあり、陽の当たるこの浜で乾かしたい気持ちもある。そうして三十分程ブラブラしたらここに決定。正午にはビールを開けて後戻りはできないようにして腰を落ち着けた。


そのうち焼酎お湯割りに移って自由に過ごす。大先輩は海図と沿岸潮汐表と思しき冊子を睨みながら気づくと寝落ちしている。筋トレ後輩は寝転がって昼寝、アブナイ後輩は太極拳の型をやって心身を整えている。そうして日が落ちるまでのんびり過ごした。明日の午後からは天気が崩れる模様。しばらくは雨にうたれて過ごすことになりそうだ。今のうちのお陽さまをたっぷり味わって充電して寝た。










2024年4月6日土曜日

20240406 花見

中々漕げてないなか、みんなで花見をしに三浦に。先に舟を浮かべて散歩してこよう。

新しいドライジャケットは素材がしなやかで、水滴もコロコロと弾かれて転がる。近場に行ったら浅い春の潮が押してくれてゆるゆると長く一本乗れた。

戻ってツアー組に合流する。黒鯛込で折り返して浜諸磯で昼に上がる。トイレに歩いていったら、灯台側に上げた別のカヤックの一行とトイレですれ違う。良い海況ですね。

昼を終えて油壷で次の休憩をしてからゆっくり俺の浜でコーヒー休憩の小網代時間。そこへソコツ後輩がフライパンを用意して、ししゃも、黒はんぺん、フランク、バナナと次々焼いていく。ゲストの一人が料理好きらしく、フライパンを上手に煽る。そうして日が落ちるまでゆっくり帰った。最後に水に浸かったら、水切れが良いから生地が濡れず寒くない。ドライはピチピチに限る。

2024年2月10日土曜日

20240210 立石長津呂崎は近場

はじめ北風、のち南風、少し強めな様子なので、ゆっくり目に出て遠出はしない範囲でということで筋トレ後輩と漕ぎ出す。

後輩は向かい風が好きなので、何故か北に向かう。右前からの風に風見をキャンセルしながらの漕ぎが例によって荒崎まで、また岬を越えてからも続く。ほっとけば長者より先に行きたそうなところを立石までにして休憩しようかと水を向けるも、人がいる浜は好きじゃないのか、折り返して戻ってからという。トイレもあるのに。

佐島のキラキラはとても良い。浅い水路に陽の陰影が落ちて上を舟が静かに滑る。それで荒崎を過ぎていつも暖かい浜に上がって昼にした。

まだ南風にならず、後輩は少し不満そう。風が落ちた中をまずは諸磯までと漕いでいくが、堤防が見えればそこまで、次は釜根が見えて、結局長津呂崎まで来てしまう。安房崎まで行きそうなところをここまでにしてもらってやっと引き返す。

それなりに漕いだから俺の浜でゆっくりしたいと網代崎を過ぎると、SUPが浜に上がっているのが見えた。もう3時過ぎてるし、それならクラブハウスでゆっくりしようということになって、戻って舟を上げた。

近場でと言いながら、結局いつものように漕ぎまわってしまった。思ったよりも海況良くて、まずは来てから考えて、それが正解。