小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2020年7月31日金曜日

金輪継ぎ

去年あたりから、木のパドルを自分で作り始めて、そのために木工クラブにも入った。一本つながったやつは、それなりに自分に気に入った重さのものができてずっと使っているのだけど、やっぱり大先輩のツアーで漕ぐ時など、分割できるパドルでないと不便なこともある。

それで、分割するのにいい方法はないかなと見回してみれば、継手という、木を継げる技法がそれこそたくさんでてくる。中でも、金輪継ぎというのが一番良さそうだと目星をつけた。

とはいえ、いきなり作るのは自信がないので、端材などを使って何回か細工の練習をしてみた。まだまだ隙間があって不細工なのだけど、それでもようやく実際のパドルで試しても良いくらいにはなってきたのが今年の始めくらい。それで、よし、実際にパドルを拵えるぞ、と思ったら、急に世の中が動きづらくなってきたのが春の初め。木工クラブの年齢層は、うちのカヤッククラブよりもさらに高め。だからとても心配で行きづらかった。


それでもようやく世の中が落ち着いたなと思った梅雨の頃、預けてあった米ヒバの木に線を引いて金輪継ぎの細工を終え、パドルの部分を整え始めた。 


それがようやく形になり、先週は大雑把な削りの段階だったけど、まずは漕いで見たら普通に折れずに漕げた。負荷がかかるロングロールも問題なし。ただ、パドルに頼るロングロールに耐えられるかは未知数。


まずは自分で試してみて問題なさそうだったので、最後まで削り込んでひとまず完成。自分の狙いよりも軽くできてしまったけど仕方がない。試作だし、自由に使ってもらえるようにクラブに置いて、みんなにどんどん負荷をかけて貰おう。折れるかしれないから、普段よりスペアを一本多めにお願いしよう。


2020年7月26日日曜日

20200726 スイカ、レインボーユーカリ、多摩川の海

ここ数日の天気予報は、曇りと出てても、土砂降りと晴れ間が繰り返して、足して割れば曇りなのかもしれない、そんな感じ。夜分から日が明けてもざあっと降っては落ち着くが小一時間の間で何度も繰り返した。それでもこの日は、午後に向けては上向くはずだからと、様子見で舟を出す。

ヨットの脇を抜けていくと、小網代の湾内ですでに赤潮が浮いている。あらまあ。波は全然ないから、クラブハウスで様子見をしているメンバーは出てこないかな。そう思いながら、堤防をまわって北に向かう。

赤潮の中を漕いでいると、パドルから水が伝って、小さな粒々が手に触る。それがいつもスイカの粒々のショリショリした感触を思い出す。なんとなくスイカっぽい匂いまでしてくるような気がする、そんな海を漕いでいく。

空を見ると、薄曇りを背景に、大島から佃嵐崎にむかって粘土を細長くまるめたような雲が一本通っている。佃の向こうまでその雲は続き、先の陸地では雨が降ってるみたいだ。

その雲を前に見上げながら、ささやかな向かい風を感じながら漕いでいたら、だんだん雲も僕の方に近づいてきたのか、黒崎の鼻あたりでいつのまにか雲が真上にあった。そして、北からの向かい風がぐんと強くなった。ちょうど風の押し合いの境だったんだろう。

一本の雲が南に押し込まれていったあとは、細長いまだらな雲がいろんな色に吹きちぎれて伊豆の方に広がる。木の肌がいろんな色になるレインボーユーカリという木があるけれど、青と白の間のグラデーションでその木を拵えたら、そんな空だった。日差しも見えて、とても気分がいい。

それで黒崎を越えると、長浜の湾が赤潮から茶色に変わった。この色は覚えてる。雨がふったあとの多摩川の色だ。一番川からの雨水で、湾全体が茶色にそまってるのかな。すげえな。ここまでくると、南からのうねりが入り出し、目の前の狭い岩場のポイントには良さそうな波がたっている。サーファーもいないし、まだ少し茶色い波で何本か遊べた。

南に目を向けると、一本の雲はすっかり消えて、もう夏の青空といえる天気になってきた。これで気分良く舟をあげようと折り返したら、NZ先輩がちょっとだけ舟をだしてきたのに行き合ったので、それで舟をあわせてクラブに戻っておしまいにした。

なかなか梅雨の明けない年だけど、お日様はもう夏モード。台風はもうちょっと待ってね。

2020年7月15日水曜日

20200715 西側散歩

なかなか梅雨前線があがっていってくれない。ちょっと南におりたタイミングを見計らって海に出る。

まだクラブには誰も来ていなかったけど、週末の予報が良くないことを考えると、きっと誰かしか来るだろう。海の上で会えたらなと思いながら漕ぎ出す。

今日はどうしよう。あんまり遠出はしないけど、ちょっと散歩がてら長者まで行ってみようか。前線からのうねりもかすかにあるし。

気持ち良い程度の北風を漕いで荒崎、長者とやってきた。道中、雲から指した光が長者の岩肌だけを照らし、梅雨の景色に明るい。

長者の波の立つポイントは時々うねりが盛り上がり、ちゃんとヘルメットをつけて何本か遊べた。

帰り道は岸沿いに、道中砂浜でもう一本。その先にはサーファーが二人、ポイントで待っていた。そこはパスして立石で舟をあげて休憩する。

あがったついでにクラブの出艇簿を確認すると、レジェンド先輩、遊び上手の先輩、前漕ぎ道場主の三人が南に出ていた。僕も赤羽根までは行くつもりだったので、道中どこかで会えそうだ。

立石を出て佐島を抜け、荒崎にやってきた。目出度いポイントで一本遊ぶ。近くのポイントではまたサーファーが入っていてパス。一気に諸磯を目指す。

四角い灯台が近くなってきたと思ったら、向こうから漕いでくるカヤックが見えた。誰かかなと思ってこちらの舟を向けたけど、知らない人だったのでまた舟をそらす。出せるならやっぱり今日漕ぐよね。

諸磯灯台の入り江に進むと、遊び上手の先輩と道場主が浜に上がっているのが見えた。僕も舟を上げて挨拶する。二人は安房崎から折り返したあと、諸磯で水に浸かる練習をしまくっていたのだそうだ。さすがです。レジェンド先輩は、もうピューっと戻って舟をあげてるそうだ。

ぼくも赤羽根までは漕ごうと、ささっと昼飯を片付けて二人とわかれて舟をすすめる。長津呂から馬の背までは南からのうねりがダイナミックに動く。隠れ根に流れ込む潮を横目に、舟の動きを楽しみながら往復して諸磯に帰ってきた。この頃にはもう晴れて日差しが強い。その下で何本か長く遊んだあと、クラブに戻って舟を上げた。


舟の仕舞い支度をしていると、手首の一部が赤く焼けていた。いつもと長袖の長さが違ったから、段差で焼けた。曇りと思って油断して日焼け止めを塗るのを忘れてた。なかなか開けない梅雨だけど、その先の夏が少し覗いた気がした。