小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2021年4月23日金曜日

20210423 前転

仕事や世間の波の合間を縫って、狙いをきめて漕ぎにでる。尾根筋から下る小網代への道で、木陰を抜けてくる風にジャケットのチャックを上まで閉めた。それでも、クラブハウスで支度をしていると、日差しの中の熱は確実に強まってる。


さて行きますかと、入り江の静かな森を見回してから漕ぎ出ていく。波がなかったらのんびりと南の方に漕ごうか、波があったら近場を転々と散歩をして回ろうか、特に行く先を決めずに小網代の湾から出てきた。網代崎をみると、台風2号からのうねりがしっかりとある。よし、近場をぐるりと回ろう。でも、今日はスタートが遅かったし北風もまだ強いから、荒崎までで小田和湾は越えないほうがいいな。


大筋決めて漕ぎ出すと、近場のポイントにはすでにサーファー・SUPが入っている。平日というのにお互いやりますな。沖からかすめて会釈しつつ先に進む。ここはパス、そんなに波もないしねと、すっぱい葡萄の狐を思い出しながら、でもお互い怪我したら良いこと一つもないからね。カヤックは波を探して20kmでも動ける。そして移動自体も楽しい。


結構向かい風だなーと、重いパドルを感じながら岩場の狭いポイントまで漕いできた。こっちもすでにサーファーが一人いる。ここのサーファーは態度が荒い。近づくだけで、向こうから寄ってきて強い言葉で追い出しにかかる。近寄らないのが無難。


それで、次はおめでたいポイントまでやってきた。ここは潮位が低い時にわりといい波が立つけど、僕ら以外が入ってるのを見たことがない。波待ちポイントで振り返ると、松の岬の向こうに富士山が見えて、どこか目出度い気分になる。今日の富士山は、のっぺりした青で塗りつぶされて書き割りの富士。


ここは大きめの波がちょろっと立ってすぐに落ち着くし、行った先が広く深いので、大きい波に安心して突っ込める。突っ込めば、しょっぱなから横乗りやロールでビショビショになる。慣らしが終わってココイチの波に突っ込んだら、バウが完全に沈んで前転した。それでも底にはつかない深さだから舟が傷む心配もない。いいねえ。大きい波のスピード感は格別で、ハルが水面を跳ねるポンポンという振動をお尻で楽しんだ。


しばらく遊んだら、これからどんどん潮が上がっていく時間帯。サーファー・SUPには乗りづらい波になるかなと、またポイント巡りに勤しむ。岩場は波が落ちず、サーファーが二人に増えてた。近場はSUPが岸に上がって波待ちをしていた。カヤックでなら乗れるかなという波をだいぶ待って一本のり、諸磯のほうまで足を伸ばした。


諸磯は南からのうねりがもろにぶち当たって、いつもの波待ちポイントで盛大に巻いてる。波はあるし、潮はまだ低かったしで、何本か巻かれてロールしたあと、灯台の入り江に上がってすこし様子見をした。舟を痛めそうだったし、低い水温を渡ってきた風に濡れて吹かれると、波待ちが少し寒い。地面からの熱に心地よくなりながら、潮が上がるのをのんびり待った。


少しは上がったかなとまた出ていったけど、波の巻き方がバウを刺しそうなので、いつもは邪魔な岩のさらにその先の落ち着いた場所で乗る。波があるので、それでも十分楽しくやれた。諸磯はポイントに両側から波が回り込んできて、乗ってる最中の真正面からも波がやってくる。一本乗り終わった場所で待っていると、反対の波でまた帰ってこれて、行ったり来たりの波遊び。


最後にもう一箇所、俺の浜のポイントで一本。大きいのに合わせたら、ちょうどバウが落ちて今度は底に当ててしまった。ここは浅いんだ。それで本日二度目の前転。ちょっとやりすぎた、これが潮時と戻って舟を上げた。


一日を通してあちこち漕ぎまわって、潮の高さでどこかしら遊べる場所があった。シーカヤックで楽しい波のピークは、サーファー・SUPの波とちょっとずれていると思う。三浦のいろんな海、お互い気をつけて一緒に楽しみたい。


2021年4月18日日曜日

木賊をさがして


暇があればカヤックをしていたいと思うけれど、中々そうも行かないこともある。休日の海況が悪いこともあるし、家のこともあるからそうそう毎日漕ぎにでるのも憚れる。そういう時にも、家の中で少しでも海やカヤックに触れてたいと思ってた。

ある時、お昼に上がって休んでいた浜でぶらぶらしていたら、トコブシの貝殻がとてもきれいなのを見つけた。それで、自分の指輪から貝のパーツがいくつか抜け落ちているのを思い出した。

ぐるりと20個ほど三角形に切られた貝が嵌めこまれているうちの、数個がなくなってた。ちょうどいいやと、最初はアワビの子供だと思っていたトコブシの殻を持ち帰り、割って削って形を合わせ、欠けた場所にはめ込んで、満足した。いつでも三浦の海を身に着けていると思えるのは悪くない。一つ、また一つと嵌め込んで、都合半分程はもう三浦のトコブシに置き換わってきた。


その次は、正月の三が日に、割り箸を捨てるのがもったいないような気がして、見様見真似で適当にカヤックのミニチュアを作ってみた。それにちょっと興が乗って、伝統的なグリーンランドカヤックの作り方を調べ、それを真似て  1/10 のサイズでもっとちゃんとしたものを作って見た。

子供の頃には、図工が嫌いでしょうがなくて、作品を完成させたことなどついぞ無かったのに、歳をとって気が長くなったのか、ちょっとずつ作業を進めて完成にたどり着くことができるようになったようだ。


ミニチュアを大先輩に見せたら、削りかけのグリーンランドパドルがそのままになっているのを、大先輩が僕にくれた。その材は作りかけの途中に誤って折っちゃったけど、一本、ちゃんと完成したいと思ってホームセンターで 1200円の米松を買ってきて作ってみた。これは中々思ったような重さと出来栄えが難しく、次の、またさらに次のと作って、今の所片手の程の本数を作ったけど、まだまだ作ると思う。折っちゃった大先輩の材はその後、うまく他の材を組み合わせて一本のパドルに仕上げられた。どこかに引っかかってたトゲが抜けて良かった。

まあまあ良くできたと思えるようなパドルには、雪月花をテーマに、月だったり桜の花だったりを、これまた三浦のトコブシの殻で螺鈿をして勝手に満足している。まだ雪をやれていないので、次こそは雪で作ろうと思う。


そうして、鉋やノミを研いだ砥の粉がでたり、木のクズが溜まってきたりすると、どうやらこれで金継ぎができるようだと気がついた。

漆を買ってきて、自分の気に入ったぐい呑や茶碗の欠けを繕って、だんだんと金継ぎの道具や材料が増えてきた。

漆の表面を研ぐのに、いろんな方法がある。近代的な方法としては耐水ペーパーが思いつくけど、これは器の表面に傷がつく。器に優しいのは、じつは伝統的なやり方の炭や木賊のほう。炭でいくら器をこすっても、釉薬のガラス質の表面は傷がつかず、漆だけを見事に研げる。

もちろん、研ぎ用には最高級の駿河炭というのが売ってはいるのだけど、ここでも三浦の浜が活躍した。浜で砂をザラザラと手で掬えば、炭の屑がいくらでも見つけられる。ちゃんとしたものではないけれど、別に自分の器を直して悦に入っているだけだから誰も困らない。

ところが、炭だとちょっと研ぎが荒いので、木賊のほうが細かく表面を仕上げられるらしいと知った。なので、次は三浦の浜で木賊を探そうと、晴れた大風の日に三浦のあたりをぶらぶらしている。

カヤックが今の所、螺鈿、ミニチュア作り、木工、金継ぎと流れてきている。この風が吹いたら的な繋がりを、なんとかカヤックに戻して循環させたいのだけど、木賊の次がどうなるか先は見えない。見えないながらも漕いでいれば、次の岬を一つずつ越えて、そのうちまたカヤックに戻るかな。

2021年4月17日土曜日

20210415 房総サーフ

世の中の波を交わしつつ、近場で少し足を伸ばす。東京都はかわしつつ、大先輩の車に数人で乗り込み、平日の道路をレッツゴー。

風と波の予報は結構強くて高い。久しぶりのサーフ行であるし、薄い舟を持ってきてもらっていたから、ちょっとビビりながら、でもワクワクしながら、みんなと海の様子を予想しながら車は進んでいく。

目的の浜についてみると、思ったほどは波がない。うねりはきれいに入ってくるけど、九十九里側はクローズというのとは違った様子。サーファーやSUPの人たちも陸から眺めて、波が上がるのを待っている様子。これから潮が下がるのを期待しているようだ。

カヤックは、海で浮いてる分には暖かだから、すぐに支度をして海に浮かんでいくらでも波を待てる。目の前の海は、色がはっきり2つに分かれてる。底が砂の半分は色も明るく、気持ちよく乗れそう。もう半分は底が岩で春の海藻が立ち上がり、水面に流れて色が黒い。どんどん漁師が入ってきてワカメかなにかを採っている。こちらのほうが波はいい。

大先輩は漁師がいる波の良い方に漕いで行くので僕もついていく。波がきたきたと思ってパドルを差すと、からまる海藻に掴まれる春の風物詩。後から入ってきたSUPの人たちが海藻エリアまでやってきたけど、あまりおもしろく無かったようで、明るい方に戻っていった。

潮が下がりだし、そこからまた上げ潮に転じて、いればいるだけ波が良くなってきた。このころには、サーファー、SUP、漁師、全員あがって僕らだけになった。午前中は波を待つ感じだったけど、今は待つ暇がない。長く乗って戻ってきたら、すぐに次のがやってくる。結局、大先輩が上がろうと言うまで、用足に一度浜にあがっただけでずっと遊んでいた。都合五時間くらいか。

他のメンバーもめいめいの場所で波を楽しんでた。一緒に沈脱して浜に打ち上がってた二人は一番の敢闘賞だねーと、帰りの車中でにぎやかに失敗を分かち合う。世の中の波もまた次のうねりが来始めているようだ。ピークをうまく交わしながら、隙間を見つけて楽しもうと思う。

2021年4月9日金曜日

20210409 横風チャレンジ

そういえば、今年はまだ森戸神社まできちんと行っていなかったと思って漕ぎに行く。午前中はまだ北東よりの風が続くので、横風チャレンジにちょうどいい。最近、横風の中苦労することが多い気がする。

もう桜は全部散った。日差しには熱がこもり出したけど、海の上を吹いてくる北風はまだ冷たくて、冬のさり際を感じさせる。晴れた空の下、向かい風を漕ぎ上がり、荒崎。風がまだまだ強いので、ちょっと長井沿いに中まで入ってから小田和湾を渡る。

期待していたうねりは全然なく、ちゃぷちゃぷの風浪を突いて長者を目指す。波遊びができないのを確認したら、またパドルに力を込めて名島の赤い鳥居を目指す。このエリアは平日というのににぎやかで、SUPと何回も行き合う。

鳥居について北側に回り、その先の大崎と稲村ヶ崎を見る。大崎でも波はないだろうなあ。目をこらしても、何の盛り上がりも感じない。さっぱりと諦めて森戸神社脇の川に滑り込む。そこから神社を見上げて三浦のカヤッカーの安全を祈る。もちろん僕ら自身も精進して安全航海に励みます。

年明けの恒例がやっとすんで、岸沿いをのんびり帰る。小田和湾も中まで入り込んでぐるりと岸沿いに。湾の奥の停泊エリアでは、ヨットが一艘沈んでいて、水面からマストの先端が数メートルほど突き出ている。その先端からはられたワイヤーが何本か、広がりながら水面下に消えていく。乗られなくなった船というのは物悲しい。ワイヤーをくぐって挨拶をした気になって、それで荒崎を回って帰っていった。

週末はちょっと漕げないけど、平日にまた房総のツアーがある。薄い舟でどこまでやれるか、挑戦してみたい。

2021年4月3日土曜日

20210403 灯台めぐりとカヤックホイホイ

土日のどちらかは天気が悪いイメージ。良さそうな土曜に漕ぎに出る。今日も筋トレ後輩と。うねりがありそうなのでまた波回りをしたいなあと北方面に。

先にでて近場のポイントで様子を見ながら後輩を待つ。前回ほどではないけれど、うねりははっきりとある。後輩と合流して佃に。サーファーがいないうちに数本乗って荒崎タッチの亀城礁まで。

今日はあとから何人かメンバーが出てきそうなので、みんなとの合流を目指してここで折り返す。亀城の灯台から北をみはらしてから沖アジロを目指す。

亀城から見る沖アジロは、おもったよりも左にある。ほとんど三崎の堤防にかぶるくらい。水平線のヨットの群れの中に沖アジロを探して見つかるわけもない。

沖アジロから諸磯を目指しながら、キョロキョロとみんながいないか探す。結構カヤックがちらほら漕ぎ出していて、お、と思って空振る。

諸磯灯台から今度は安房崎を目指し、長津呂崎のうねり波を楽しみながら漕ぎ進む。城ヶ島灯台の次は馬の背あたりから安房崎灯台を眺め、でもみんなの姿が見えない。ここいらで引き返す。

帰り道、たくさんのカヤックをみた。グループで漕ぐカヤックがいくつも。いよいよ暖かくなってきた。それでも、どれもうちのメンバーじゃない。なかなか珍しい。

俺の浜まで戻って休憩した後、近場のポイントに弱く波が入っていたので、そこで後輩と少し遊んだ。後輩はいいのに一本乗ったところで沈脱し、ちょうど良い訓練になったというところで区切りとして、入り江に戻ってプカプカ浮いてた。

春の干潮はすごい引く。浅い干潟の底をみながら浮いて雑談をしていたら、急に声がして目をあげた。そしたら、4つのカヤックに囲まれて、アザラシだったらしとめてたとからかわれる。やっとみつけたうちらのメンバー。ほんとに静かに話していたのに、全然気づかなかった。

そのメンバー達のあとから、続々と別のグループも入り江に入ってきた。お高いファルトも何艇もあるし、見慣れないカラーリングの艇もある。カヤックホイホイというか、定置網にかかる魚のようにカヤックが入り江に流れ込んできた。

日曜は午後から天気が崩れそうな予報、暖かくなった好天の土曜、みんながでてくるのもわかる。気温は上がるけど水温はまだ低く、強い風がふく時期が続く。みんな気をつけてご安全にー。