小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2019年4月27日土曜日

20190427-30 隠岐ツアー

GW まるまる、クラブのみんなで隠岐の島を漕ぐ。前半は島前、後半は島後。どちらもの欲張りは言えず、僕は前半戦のみ参加。みんなが島前から島後にうつるフェリーにそのまま乗って本土に戻る予定。

土曜・往路

金曜に仕事を終えたら支度をすませた荷物を背負って横浜駅で集合する。真夜中きっかりに大先輩の車に総勢7人が集まる。挨拶もそこそこに浮足立って出発。横浜から夜通し走る。クラブの遠征はいつもそんな感じだ。早い昼飯時には鳥取・境港について、午後二時過ぎのフェリーに乗って西之島の別府港に渡る予定。道中の車内は寝る人、寝ない人、入り乱れて楽しい。ほとんどを運転していた大先輩はそうも言えないかもしれないけれど。

境港で食料を買い出し、フェリーに乗る。外海を往く舟に乗るのは初めて。この日は北風が強い。おおかた揺れるだろう。たった二時間ちょいとはいえ、舟に酔うかもしれない。大先輩が酔い止めを準備してくれているのだけど、それを飲んだらお酒が飲めない。横ではちっこい後輩がケロッとして、人混みのざこ寝場に場所をみつけてストレッチをしてる。後輩は長期ツアーによく参加していて、壱岐を回ったり、天塩川をくだったり、フェリーは何度も乗ってる。ひきかえこっちは、それなりに年をくってはいても初めてのことだから、口には出さずにドキドキしてる。気が張ってるから眠くはないけど、自分が寝不足なのは間違いない。大事を取って薬も酒も飲まず、動き出した景色を様子見する。一緒にビールを買っていたおおらかな先輩には不義理をした。この先輩もツアー常連。

フェリーは境港をでて美保関を回り込む。島根半島の東端を過ぎれば日本海の外海。飛ぶうさぎが見え、フェリーも揺れだす。デッキに出て美保関の灯台を横目に波を見る。カヤックでも漕げるだろうか。遠くをみながらぶらぶらして、しばらくしたら隠岐の島々が見えてきた。見えたと思ったらあっという間、知夫里島と中ノ島の間を抜けて西ノ島に到着。別府港で舟を降りたら耳浦のキャンプ場までちょろっと走ってやっと着いた!これから3泊の前半戦はここ耳浦がベース。よろしくね。


時刻は午後6時前。西の方だから日没が遅くまだ明るい。テントやタープなど、居場所の確保もそこそこに、食事の支度を始める。境港の買い出しで、大先輩がたっぷり貝を買ってくれていた。白バイ貝・本バイ貝・サザエをたっぷりとダッチオーブンに放り込んで蒸して食べる。うまい。鍋には味のでた蒸し汁がたっぷり残った。真面目な後輩がソーメンを買ってあったので、蒸し汁に水を足してソーメンを茹でる。この後輩とレジェンド先輩はなんだかソーメン推し。その推しどおり、ソーメンがうまい。賑やかに食べて飲んで、暗くなったらすぐ寝た。北からのうねりがキャンプ場の浜にダッパン、ドオーンと大きい音を立ててるけど寝不足の勢いで全く気にならない。起きたらいよいよカヤックを漕ぐぞ。


日曜・国賀海岸

朝露ってすごいね。いつでも水が補給できるね。明るくなったら待ちきれずに起き出す。真面目な後輩のテントが僕のテントから少し離れた所に移動してる。あとで聞いたら、僕のイビキがうるさくて夜中に場所を動かしたんだそうだ。あー、ごめん。ともあれ、さっさと自分の朝ごはんを作る。大先輩はタープの下でシュラフにくるまってまだ寝ている。レジェンド先輩と古株の後輩はそれに遠慮してか、タープの外で離れてお店を広げる。けどちっこい後輩は、大先輩の鼻先で朝ごはんを作り出す。長期ツアーを繰り返し、もう家族との言われようは伊達じゃないなと感心し、ちっこい後輩に並んでご飯を作り出したら大先輩が起きた。

朝の身の回りのことを済ませたらいよいよカヤックを下ろして浜に並べる。漕ぐまで長かったあ。



出発したらそこはいつもの海。三浦で身についたことは裏切らない。風は落ち着いているけれど、昨日のフェリーを揺らした北からのうねりは弱まりながらも残っている。ちょうど楽しいくらい。

耳浦の入江を北に出たら、西の国賀神社まで12km程を漕ぐ。切り立った崖と透き通った海の間を粛々と進んでいく。ただただ楽しい、嬉しい。国賀海岸のハイライトは摩天崖という崖で、海面から257m切り立った崖になってる。あれ?と思って調べてみたら、アイルランドのモハーの断崖が高くて214m。あれ?モハーを漕いでみたいと思ってたけど、摩天崖より低いの? 隠岐すげー!


 上を見ながら漕いで摩天崖を通り過ぎ、国賀神社のある浜に上がる。東屋があったのでそこでみんなで昼ごはんを食べる。
国賀神社の浜からなだらかな芝生を登れば通天橋が下に見える
通天橋
一番尖ってるやつが観音岩
僕は田中美佐子が好きで、彼女はこの島の出身。子供の頃、島の崖の上に立って海を見て、私は将来この島で夫が漁から帰る船を待って、こうして海を見るんだ、と思ったそうだ。何かの番組でそう話していた。同じ崖から海をみても、季節が変われば天と地だろう。島での生活は生半可では行かないな。

お昼が終わったらまた来た道を帰る。通天橋をくぐって出ていき、国賀海岸を東に東に。


来る時は船越あたりををすっ飛ばして沖をまっすぐ行ったけど、帰りは岸によって漕いだ。自然と船越の街に寄って行き、船引運河を通って西之島の南側に出て一休み。落ち着いた家なみにほっとする。漁船ものんびりしてる気がする。



船引運河をまた戻ったら外浜のあたりの砂底がとても気持ちがいい。雲も随分薄くなり、空と海の青、草の緑、岩壁の灰茶色、それぞれが目の栄養になる。


このあたりから向かい風が強まりパドルが重かった。じりじりと前に出てキャンプ地に戻る。ちっこい後輩は「疲れたぁー」と声を張った。お疲れ様。またタープの下に戻って明るいうちから飲んで寝た。

月曜・東国賀海岸

朝から雲が低く、昼過ぎからは雨が降る予報。この雨は夜通し強まって降り続く。朝早くから起き出して海を見に行く。ここの所波はどんどん落ちて、シャラン、パシャンと、空も海もどんより眠たげだ。

今日の予定は、西之島の東の端っこ、冠島にタッチしてこようというもの。耳浦を今度は右に出ていきながら、今日は洞窟、岩場を一つずつ丁寧に潰す。国賀海岸は断崖が続いて勇壮だけど、上を向いて漕ぐばかり。東国賀海岸のほうが、カヤックであちこち入り込むには面白いような気もする。


あちこちの岩場で竿を出す釣り人たちに感心しながら、あっという間に冠島。岩場の間をすり抜けると、アカモクがびっしり生えている入江。レジェンド先輩が先に藪漕ぎのようにパドルを抜き差しして進んでいくと、その後ろに転々と轍の後が残った。面白がって同じ轍を進んだ。後ろから来る他の人たちは、お構いなしにそれぞれの跡をつけて進んできた。

中之島は目の前に大きく広がって、行ってみるのも悪くない。島前に囲まれた内側の湾は言ってみればカルデラ湾で、島前の島々が火口の縁の峰々なんだそうだ。四方を囲まれて、内側を漕ぐ分には安心できそうな、とてもカヤックに向いたフィールドだと思った。ちなみに、焼火山というのが火口そのもので、島々のちょうど真ん中に位置している。


冠島からちょっと戻った浜に舟を上げ、手早く昼ごはんを食べてまた耳浦に戻った。どの入江も水が透き通り、深い砂底もはっきり見える。そこからアカモクなどの海藻が立ち上がったり、アマモがびっしり生えてたり、森を上から見ているのが楽しい。スノーケリングで潜り、その森をすり抜けて泳ぐのは楽しいだろうな。

あとで調べたら、帽子岩と名前がついてた
この日は最後まで風もなく、静かな海をゆっくりと漕いで耳浦に戻った。島前を漕ぐのは今日まで。明日は昼のフェリーで島後に渡る。ぱぱっと着替えたら、カヤックを全部大先輩の車に積み戻し、一息ついたら雨が降り出した。これも予定どおり。

午後いっぱいは、買い出しも含めて雨の中の島内観光。由良比女神社、摩天崖の展望台を周り、にしわき鮮魚店で岩牡蠣、ユアーズこだまで新鮮なホタルイカを買って帰ったら楽しい時間の始まり。岩牡蠣は蒸して、その蒸し汁がまたソーメンになる。おいしい。ホタルイカも茹でたてがとんでもなく美味しい。

おおらかな先輩は海鮮が大好きで、ホタルイカの掬い取りに行ったり、カキをお取り寄せして食べるそう。先輩に任せておけば、カキの貝柱の切り方も教えてくれるし、ホタルイカの茹で加減もバッチリだ。でも、強まる雨の中、自分の居場所に水が上がってくると、IKEA バッグを敷いてのんびりしていたお尻がうっかりと濡れていた。

カヤックをやっているせいか、濡れる事自体に鈍感になってるみたい。それでもお尻を濡らせば寝るときにまずい。浜にいって打ち上がった漁具などでみんなの椅子として、居心地をどんどん良くして楽しく飲んで寝た。昨夜僕のいびきがうるさくてテントを動かした後輩も、この夜は雨音でイビキが気にならずぐっすりと眠れたそうだ。よかった。

火曜・松江

夜更けの三時ころ雨がやんだように思う。テントの中はしんなりとしながらも暖かに眠れた。明るくなったら起き出して、昨日の煮汁を使ったうどんを大先輩からごちそうになる。朝から美味しい。細々としたトラブルを解決しながら、小雨の中を上手に撤収して耳浦キャンプ場を跡にする。お世話になりました。ありがとう。

フェリーまでは時間があるので、焼火神社にお参りにいった。参道を登ってお社につくと、お社の屋根がすっぽりと、背後から覆いかぶさる洞窟の穴にはまり込んでいる。パラパラの雨も木々の霞の間を抜けて音なく落ちている。真水で湿った森の空気を吸い込んで気分が清らかになる。その心持で皆の無事を祈って山をおりた。海の安全に霊験のあるお社なので心強い。

軽く昼をすませたら、みんなでフェリーに乗り込む。西之島から島後にフェリーは渡り、そこで他のみんなは降りる。後半は島後をまるっと漕ぐ予定だ。厳し目だった風の予報が好転し、後日の連絡では島後の一周をしている途中だそうだ。僕は島後でフェリーを降りず、そのまま本州の七類港に戻って松江で一泊し、次の日飛行機で戻った。島後の西郷港で他の皆が降りるときは、三浦でいつでも会ってる面々とは言え、ちょっとしんみりする。だから見送りは船室ですませ、外は見ないでフェリーの有料シャワーで体をさっぱりさせた。

不思議と今まで遠征は日本海ばっかりで、若狭湾も良かった。隠岐も最高だった。家並みと水が近く、ひっそりとした時間の進みに憧れる。悪い季節には行かないのだから無責任にとも思うけど、良いとこ取りでいいからもそっと足を伸ばそう。

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