小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2022年5月3日火曜日

20220503-0508 ミサコの島

久しぶりに足枷のない連休。クラブのツアーで周防灘を五泊六日で漕ぎ回る。とは言っても連休でのお出かけ。行き帰りの道路は混むだろうから、無理せず余裕をもって、本気で漕ぐのは三日ほど。それでも十分。

5/3 横浜 - 笠戸島

初日は事故渋滞に三度はつかまり、笠戸島に着いてみればもう日が変わりそう。車中も会話がエキサイトして高速を降り損ねそうになったり、買い出しのスーパーに寄るのを忘れそうになったり、笑いの絶えない道中であっというまだった。車を止めたその周りで、暗闇の中みんな適当にテントをはり、もそもそと寝袋に入って寝る。


5/4 笠戸島 - 尾島

日の出もそこそこにテントを出て海の方をみやると、海辺の道を野犬がトボトボと歩きすぎる。夜中にワンワンと聞こえていたのはこれか。朝飯をすませたら荷支度をし、重い舟を水に浮かべて入江を出ていこうとすると、道のない山の上の方から見送りの遠吠えが響いた。トボトボ歩いている姿を思えばかわいい。

この入江には石の鳥居が立ち、大明神と書いてある。これからの航海の無事を祈って手を合わせ、外に向かって漕ぎ出したら、なんだかヌメヌメと丸くて黒いものが水面を上がり下がりしているが見えた。しばらく見ていると、また出てきた拍子にプハッと息継ぎをして、ああ、スナメリなんだと気がついた。これは幸先がいいなとしばらくしたら、いよいよ漕ぎ本番。

深浦の入江から火振岬を過ぎて、今日のゴールの尾島が見えた。後ろの牛島だかに紛れて、それよりもう少し色濃い島陰。もうちょっとだけ笠戸島に沿って漕いで、適当な砂利浜であがって一休みしたら尾島への渡り。15km の距離をまっすぐ漕ぎ切った。まだ日が高く1時過ぎ。でも水が綺麗で玉砂利の浜から低い緑と青空を見たら、もうこの先漕ぐ気にはならない。そうそうに舟をあげ、それぞれがバラバラに時間を過ごす。

日が少し下がってきたら、だんだんと皆が集まってきて、プシュッと缶が開いた。こうなると時間が経つのが早い。ぐんぐん日が落ちていって、太陽が「i」の字にピカピカおりてきて、それがピリオドになって消えていった。こうなると寒くなってくる。暖かい物を食べながら、11時くらいまでベラベラと喋り通して寝た。


5/5 尾島 - 牛島 - 叶島 - 長島

今日もまた漕ぐぞー、祝島はあがれないけど、長島側に上って休憩して、その先の佐合島の瀬戸内No.1ビーチでキャンプするぞー、と意気込んで漕ぎ出した。まずは牛島に取りついて岸ベタに回っていく。トンビにしては腹が白いなと思ったら、ミサゴだ。三浦ではちょっとレアだから嬉しいと思って上を見ていたら、トンビだと思っていた鳥がみんなミサゴだった。田中美佐子が大好き、紺野美沙子もいいですね。あほな会話で牛島を回っていく。

次は叶島に着いたらここにもミサゴ。番いのようだ。人の居ない場所にはトンビも住めない。ミサゴのような自分で餌を取れる鳥しか生きれないのだろうと大先輩がポツリという。美佐子と言っていた同じ口とは思えない。

そこからまた次の島、長島に渡り、祝島を正面に見る砂浜に上がった。とてもきれいなところだ。ガンガン後輩は漕ぎたらないと見えて、皆が昼食後に皆がのんびりしている間にも鼻操島まで往復してきていた。

No.1ビーチの佐合島までは距離が有るというのに、漕ぎ始めてホンの一時間もしたら夢のような浜が岬の向こうから見えてきた。白い砂底に明るい青緑の澄んだ海。その先には手頃な広さの綺麗に湾曲した滑らかな白砂浜。入江の両端は岩場で区切られ、全てが完璧。これより上が有るのか、瀬戸内海。恐ろしい。


そうは言いながらも、あまりに魅力的な浜だったので、ふらふらと入江に入り込み、先っちょだけ上陸しようとバウを白い砂に擦り上げた。そうしたら、ちょっと様子だけ見てみようと大先輩が舟を降りた。我も我もとみんな浜に上がって、振り返り、砂浜の見事なカーブに沿った澄んだ海を見る。

ここで十分、というより、ここでキャンプしたい。この浜がいい。いや、No.1 を目指すか... 南野陽子と北川景子と浜辺美波が入り乱れてしばらく議論したけれど、今日は南野にして明日の帰り道に No.1 の浜辺を見に行くと落ち着く。直感は大事だ。

この浜の南側にしたのは夕日が見える方角だったから。ひたひたの細波だけで波音のまったくしない瀬戸内海に「iの字」の夕日が沈むのをみんなで見てから本番。夜更けまでまた話を楽しみつつ、今日は途中でキャンプしてしまったので明日の距離が少し増える。水の補給が必要か、明日の漕ぎをみんなで考えて寝た。


5/6 長島-佐合島-峨眉山-大水無瀬島-笠戸島-古島-大東半島

今日は一番漕ぐ日。今日のうちに笠戸島まで帰っておいて、明日の昼過ぎにはのんびりと帰りの車中の予定。往路の渋滞が大変だったから、余裕を持った帰り道を計画した。

朝のうちは日差しがあって暑かったけど、次第に雲が広がってきて、道中、二、三度小雨がぱらついた。飲み水が少ない中、肌寒さを感じるくらいで淡々と漕げて逆にちょうど良い。風と波は一切ない。ひたひたの内海を帰っていく。

佐合島の期待していた浜は、潮のタイミングとお日様の加減が悪かったか、自分達が通りがかった時には遠浅感が足りてなくて魅力を十分に発揮できていなかった様子。やはりキャンプにあがるなどして時間をかけて付き合わないと、瀬戸内の魅力は味わい尽くせないみたいだ。とはいえ、自分達の勘を信じて判断したのだから悔いは一切ない。昨日の僕らを褒めてあげたい。

その後は本州沿いにタラタラと。このあたりはトンビもだいぶ飛んでいる。火振岬を目指して本州から離れ、火振岬がもう少しのところまでやってきた。すると、岬の向こうから飛沫を上げて小型のボートが回ってきたかと思うと、僕らの方に向きを変えてやってきた。まとまって待っていると、そばでボートを止めて「釣りの人か?」と聞いてくれた。ツーリングをしていて、島々を回って笠戸島に帰るところだと伝えると、ガハハと笑ってこの先は潮が 1ノットほど流れてるから気をつけてと教えてくれた。気にかけてくれてありがとう。

そういえば、舟の進みが遅かったなと思いつつ、パドルも重くなった気がする。低くなるお日様を意識しながら僕らも火振岬を回り込み、笠戸島、古島、大東半島に囲まれた湾に戻ってきた。どこがいいかとウロウロしながら大東半島にとりつき、玉砂利の浜に最後のキャンプ地を決めて今日の漕ぎを終えた。

浜で寝る生活も今日までかと、暮色のます海をみんなで見ていたら、ミサゴが一羽、ミルク色の空に黒々と飛んでいた。ミサゴもだいぶ見慣れたなと目で追っていたら、突然翼をたたんでまた伸ばしてを何度か繰り返しながら、ヒラリ、ヒラリと滑らかな海に飛びんで波紋を広げた。自然に声が上がり、じっと波紋を見ているとミサゴが水から上がり羽ばたいて飛んでいった。

そういえば、今日の道中、長島で岸沿いにポツンとたつ岩の上にミサゴの巣があった。木の枝を上手に、逆三角錐の櫓の形に組んであった。ただ飛んでいるのを見慣れただけじゃもったいない。

そうして今ツアー最後のキャンプ泊も更けていく。動画を撮る後輩は、今までまとまった距離は漕いだことがなかったのだけど、今回日を追うごとにペースが上がってきて、今日は全行程をペロリと漕いだ。ガンガン後輩は相変わらず前漕ぎに集中して貪欲だ。筋トレ後輩は水の補給が気になりながら漕いでいたようで、気がつかれたのだろうか、浜に早々と寝転んで皆の話を聞きながら眠っていた。大先輩はいつになく夜遅くまで起きていて、ちょっとウィスキーを寝酒に飲んだのを合図に、みんなテントに戻った。


5/7 大東半島 - 笠戸島

今日はほんの目の前にある笠戸島に渡って全ての漕ぎを終えて陸の生活に戻る。昨日頑張ってここまで戻ってきたので、朝はのんびりできる。朝の静かな海をみながら仕舞い支度をしてゆっくり舟を浮かべた。少し岸沿いに漕いで様子を見てから笠戸島までわたり、ウルフ号が置いてある入江まで滑り込んだ。スナメリのお迎えも、野犬の遠吠えもなく、静かなゴールだった。全編、内海の平らな海を堪能できた。帰りも石の鳥居にお礼をし、舟をあげた。


ここからは街の生活に戻るいつもの手順。お風呂に入り、マスクをつけ、ラーメンを食べ、お土産を買い、車中のお荷物になる。行きと違って順調な高速道路だったとはいえ、ハンドルを握ってくれる大先輩と動画後輩には感謝しかない。今回も最後まで安全な旅を楽しめた。

カヤックに一切の家財道具を積んでウロチョロするのはたまらない。日本にはそれを受け入れるスペースが全然残っている。カヤック楽しい。


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