小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2016年10月1日土曜日

20161001 ホウス

シアトルの次にダブリンに来たので、近くのホウス岬の北側にある、アイルランズ・アイという島にカヤックで往復してきた。

商業ツアーではなく、知人がアレンジしてくれて、ガイド的な二人と、知人の友達二人と知人、僕の計6人で漕ぐ。

楽しみで寝付けない。夜半からは雨が降り続けて、予報では朝方からやむようなんなんだけど、心配で何度も起きては、水滴で曇ったホテルの部屋の窓を手で拭いて夜の道路の雨を見たり、外の風の音を聞いてみたり、窓を開けて手を外にだして雨と風をうけてみたりした。

いよいよきちんと起きて、知人と連れだつてホウスのボートクラブにでかけると、他の人達はもう準備して待っててくれた。パドリングジャケット、パドリングジョン、ブーツなどを借りて駐車場に停めてある車の物陰で身支度をする。聞くと水温は15℃くらいで、空気より暖かいから大丈夫だそうだ。だいたい北海道だと思ってればいいのかな。

支度が済んで集まったら、今日の予定の確認。マリーナを出て真北に1kmくらいのアイルランズ・アイまで行き、そこを時計回りに一周して、その時その後を考えようみたいな感じ。

僕らの使うカヤックがスロープに並んでる。お互い手伝って漕ぎだす。結構風が強い。マリーナの中でも感じるし、外から風浪がばんばん入ってくる。正直、外には出れないんじゃないかと思ってビビってたら、ガイドの人がさっさか漕いで出ていくので「マジか!」と思いながついていく。
灯台を出ればマリーナの外
風は北西から吹いているので、目の前の島の風裏を一番使えるよう、島の一番高い所を目指して漕ぐ。この時間は、潮が西に向かって流れるので荒れやすい。逆に帰りは風と波の向きが合うので落ち着くとガイドの話。また、行きの向かい風をがんばれば、帰りは楽々追い風という読み。
島の真ん中、高いところを目指す
真ん中になるにつれて風浪が高くなる。波に向かっていくのだけど、風浪で波の間隔が狭いので、乗り越えて落ちていく舳先がもう次の波の腹に刺さってしぶきを上げる。ちょっと怖いけど楽しい。みんなそれなりの経験があるということでマリーナから出たけど、三浦で一人だったら絶対に引き返してる。

ガイドの片割れは女性なんだけど、この人がどんどん先に行ってしまう。一人遅れだしたのも気にせず、島の左側目指してさかさか進んでいく。男性ガイドは大声で島の真ん中を目指せというのだけど、声が届かないのかそのまま左よりを進んでいった。

島が近くと風も波も落ち着いて、帰りの心配はあるけどだいぶのんびりしてくる。離れていた女性ガイドもこちらに寄ってきてなんとなく固まった。

島の手前ではアザラシが何頭か泳いでいて、カヤックが気になるのか、10mくらい離れたところで頭をだしてこっちを見ている。カヤックの後ろ3mほどをくっついて泳いでいるやつもいる。周りの人がくすくす笑うと本人が気づいて振り向くのだけど、すると見られる前にすぐに潜って別のところに行ってしまう。そのうち島の南側の浜について一旦舟をあげた。
アイルランズ・アイ到着
まだまだ北寄りの風が強く、島を一周するのは無理だろうという雰囲気だけど、島の西端の塔までいってみようということになって舟をだす。すると、最初遅れ気味だった一人がどんどん南に出されてしまい、横には動いてるんだけど、島寄りに進めてない。舟を島に向けようとしたら沈してしまい、二人のガイドが助けに行く。

残りは浜の近くで集まって安全を保っていたけど、レスキューを見てると風で沖の荒れてる方にあっという間に出されてた。こりゃ気をつけないと。
西端の塔についた
塔のそばにある小さな浜に舟をあげて、島の上に登っていく。この塔は、1800年代にナポレオンの侵略にビビったイギリスとアイルランドの人たちが防御のために作ったものだそうだ。その後灯台に転用されたりしたけど、今は廃墟でそのままほってある。

島の北側を見に行くと、思ったとおりの荒れ模様。体を押されるくらいの風が海から島に吹き付けて、すぐに寒くなってくる。
北側
こんな波の中でもアザラシはぷかぷか浮いてる
島で一番驚いたのは、標識もなければ柵もなく、そのままほって置かれたような環境。塔を見れば中世、それ以外をみれば原始からそのままだったような姿でほっておかれている。塔以外の人工物は目に入らない。人も住んでいないみたいだ。ここが一国の首都から30分のところにあるとは思えない。自然を手付かずで残すというのはこういうことなんだな。ただ、アイルランドの人は狙ってやってるのじゃなくて、めんどくさいだけなんじゃないかなと思う。たまたまた残ったんだろう。
お日様のスポットが塔に当たった
風は強いまま、島の北側はうさぎどころか白馬が飛んでいるので、男性ガイドもまんじりとせず、さっさと帰りたそう。それもそうか。

舟を出す時にまた同じ人が横波を腹に受けて沈。浜に波が斜めに入ってきているので、先に出た男性ガイドが浜じゃなくて波に直角に舟をむけろというのに、女性ガイドかわかってるのか、浜からまっすぐ舟をださせるのだから当然か。

沈脱した人と舟が島に沿って風下に流れていくので、元の浜に向かい風で漕ぎ上がるのは無理だし、レスキューしている間に沖に出されるのを嫌がって、風下の浜まで沈した人をトーイングしていくことにしたようだ。水は寒くないけど、沖でこうなったら一体全体と思う。着いた浜で舟に戻りまた漕ぎ出す。この浜は完全に風裏なので波もない。

マリーナ目指して再出発するとき、男性ガイドが「固まって漕ぐように」と何度も何度も、特に女性ガイドに対して念をおす。彼の心持ちとしては、遅い一人に自分が張り付き、残りのまあまあ漕いでる僕らをひとかたまりで女性に面倒みてもらう積りなのだろう。その心づもりはよくわかる。だけどこの女性、今までのところ何故か一人でばんばん先にいったり、ふらふら漕いで回ってる感じ。不思議だ。

帰りは行きのようにはばたばたした風浪ではなかったけど、うねりになりかけてる波という感じがして、波の間隔は狭いけど定期的で、それでより大きくなっていた。追い波でサーフしようとして男性ガイドにたしなめられる。まとまっていこう。

それでも、女性はまた一人先走ってしまい、男性ガイドに大声で、というより怒声でよびとめられる。まじで怒ってた。とはいえ、帰りは無事だれも沈せずに追い風、追い波で帰れた。ほっとした。

マリーナの中に戻って、ロングで数回まわる。アイルランドの海は少し三浦よりしょっぱいと思った。舟をあげて着替えて集まると、みんなほっとした感じで笑顔で挨拶して別れた。

振り返ると、商業ツアーだったらキャンセルしてる海況だと思うけど、そんな中を漕げて楽しかった。メンバーのスキル的にはギリギリで、女性ガイドは言うことを聞かないし、「まとまって漕がないと、一つの失敗がとんでもないことになる」という男性ガイドの言葉はそのとおりだと思う。でも、体力があるとはいえ数回漕いだことがあるだけの人たちを連れてそんな海況に出てっちゃう感覚も大したもんだと思う。自分は漕ぎ切れる自信があったけど、流れに押されて沖に出される人を助ける余裕はなかったな...



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