小網代の森カヌークラブ (パドリングウルフ) で毎週末誰かしらと一緒にシーカヤックを漕いでいます

2020年10月31日土曜日

20201031 海の道を歩く

飛び石連休を使って大先輩の車で遠征。少数精鋭で三泊四日のツアーにでかける。漕ぐのは瀬戸内海のしまなみ海道のあたり。往復にそれぞれ1日ずつ必要になるけど、二日分もまるまる漕げれば御の字。

10/31

初日は移動日。ご時世的に車内はゆったりと、みんなのキャンプ道具を載せても余裕があって、後ろのハッチの窓からちゃんと後方が見えている。去年の隠岐の島なんかは天井まで荷物が積み上がって後ろの窓を隠してたなあ。

大先輩の運転でひたすら走って、尾道からしまなみ海道に入った時には歓声があがった。伯方島で明日からの食糧などを買い出しして、出艇予定の場所で夕日をみながら、みんなで明日の海を話し合って寝た。島の陰から上がった月はまん丸だ。潮流で有名な瀬戸内海、たっぷりと揉んでもらおう。


11/1

夜明け前からうきうきして目が覚める。朝の早い釣り人に混じって浜に立ち、白んでいく空を見ながら梨をひとつ食べた。一度出たらしばらくは海の上。その前に出すものを出しておきたいから、数時間前から口と胃袋を動かして、上から下に押し出してしまおう。

身支度を整えていつでも舟に乗れる状態にしてから、ちゃんとした朝ごはんを準備する。そのころには日もあがってみんなもそもそ動き出してる。

全員の準備が済んで舟と一緒に浜に並ぶ。遠足はここまでが長いけど、一人々々、海に浮かべば往路の苦労も泡になって頭の天辺からしゅわーっと抜けていく。残ったのは晴れ々れとしたみんなの笑顔。

漕ぎ出した目の前はちょっとした航路。船折瀬戸から出てくる貨物船が過ぎるのを待っていると、上げ潮で沖の方に横に横に流された。いいね。気を取り直して本格的に漕ぎ出す。まずは15km漕いで小さな島で一休み。その前に横切るぶっとい航路が要注意。来島海峡の東側にはそんな航路が束になって通っている。

航路の目印になるのは備後灘航路第1号灯浮標。それと、そのさらに先にある燧灘沖ノ瀬灯標で山だてして南に漕いでいく。潮のながれは左に左に。ただ舳先を島に向けてるだけだと当然横に横に膨らんで流されていく。風がない中で、ぼんやりとざばざばする潮の波にいつもとは違う海を感じる。ぺろっと舐めてみたら、三浦の海より塩気が少なくて甘く感じる。その奥に何か旨味もあって、ここでとれる魚は美味しいのだろうな。

航路を無事に抜けて目印の小さな島で一休み。ちょうど満潮の時間で、そばの大きい島との数百メートル隙間を潮が流れてエディラインもくっきり見える。そこに小さな渦巻がクルクル回っていた。潮は南から北に向かって流れてたようだ。どうりで休憩前、なかなかこの島が近づいてこないなと思ってた。

休憩の小さな島からはもう一時間でゴールの浜につく。ここもまた、大きい島と小さい島のペアになっていて、その間には潮流波が出てきていた。また向かいから流れてきていて、スタンディングウエィブに乗ると進みも戻りもせずに、舳先が流れを裂いて舟はそこにとまっている。渦潮に潮流波乗り。ちょっとだけ味わえた。

お目当ての島の浜に到着。舟をあげてみんなで乾杯。まだ日は高く、白い砂浜ときらきらした明るい海。その向こうには四国・今治がほんの数キロ先にある。20km漕いだのもあっという間、楽しく飲み食いして、テントに戻るのもあっという間。夜半からは雨。明日も雨の予報。臨機応変。


11/2

夜更の雨は強かった。その中の用足しもツアーの醍醐味。戻りがけに隣のテントが目に入る。筋トレ後輩のテントだ。テントの上には漕ぎ用の服一式が乗って雨にうたれている。真水で塩抜きするとは準備がいいね。まあ、もう手遅れだから、飛ばされるほど風も強くないし、無理に起こさず朝までぐっすり眠ってもらおう。

朝起きてめいめいが朝食をとり、手荷物を畳んで支度を終える。漕ぐ用の服に着替えたら、濡れてジャリジャリのテントを畳んで、雨の露天で朝ごはんを作る。山に慣れた人にはこれが珍しく映ったらしい。山だったら、濡れないようにテントの中でご飯をとるのだそうだ。

考えてみると、濡れるのにはずいぶん鈍感になっている。だから、かさばるテントは先に畳んで舟に積み込んじゃって、あとは細々とした道具でご飯をつくったら、すぐにでかけられるようにと思っちゃう。

雨の中また海に浮かぶ。寄り道しながら戻る 25km ほどの行程で伯方島に戻る。昨日と違って曇り空の下に島影も霞んでいる。昨日よりまとまって漕ぎながら、航路をわたり寄り道の四阪島を目指す。雨は降っているようだけれど気にはならず、風はぺったりとして灰色に凪いだ水面。滑るように進んでとても良いペース。

面ツルだなーと思いながら途中を見回すと 360度水平線。島陰も薄いので、海の真ん中感がさらに増す。三浦で漕ぐ時はいつも視界の半分に陸がかぶるから、ぐるり水の上の新しい景色に刺激される。帰ったら、パヤオのソロ往復にチャレンジしてみたい。

四阪島の手前で、シワのよった海が近づいてきた。面ツルとの境がくっきりとある。その上の空は少し雲が薄くて明るい。雲の切れ目は風が吹き下ろしている所と噂に聞いたなあと、強まる向かい風に舳先を突っ込んで、ほいほいと漕いだら四阪島についた。

四阪島では小さな浜を見つけて上がった。漕いでいる間は気にならなかった雨が、陸にあがると急に視界に入ってくる。木のしたに入って雨宿りをしながら、「この浜にまたくることがあるのかねー」とだべる。

また雨の中漕ぎ出して、伯方島のゴールが雨の中でもはっきり見える。雨は本降りのまま続くから、今晩の寝泊りをどうするか、相談しながら漕いでいく。結果、テントははらずにすむ場所で泊まろうと言うことになり、今後の予定が確定したところでゴールにつく。

最後の一漕ぎはいつもペースが遅くなる。浜につくと舟を車に片付けなくてはいけない。そう思うとパドルのひとかきが短くなり、ピッチも遅くなり。水を撫で回すだけでできるだけ浮いていたいと思う。そうは言いながらも、昨日から飲んだお酒が体の中に溜まっていて、陸の用事を済ませろと体がせっつく。心と体がちぐはぐになりながらバウを砂浜にすりあげて海の道をおしまいにした。


11/3

予定どおり夜明け前から車に乗り込み、渋滞にもはまらずに無事に横浜まで帰る。行きはいつもトロトロで、帰りはあっという間に感じるけれど、実際にかかった時間は同じくらい。いつものことながら免許のない僕には舟ごと全国あちこちにつれていってくれる大先輩のツアーはほんとうにありがたい。その帰りの車中、自立したカヤッカーというキーワードがでてきた。自分で行程を考えて準備をして、知らない海を漕いで無事に帰ってくる。なんてワクワクする話なんだろう。

もっと漕ぎたくなって帰ってくるいつものパターン。明日は予備日に休みをとっておいたから、三浦で少しクールダウンしにいこう。カヤックたのしい。

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